1)水疱性類天疱瘡における自己抗原である17型コラーゲン(COL17)の細胞内取り込みの機序 細胞内に取り込まれる機序がマクロピノサイトーシスという事は知られているが、シグナルの伝わり方は不明である。COL17の細胞内が欠損したHEK293細胞を遺伝子操作にて作成した。通常のCOL17を発現するHEK293とくらべてBP-IgG刺激に対する反応性をウエスタンブロット法で比較したところ、細胞内が欠損した細胞ではCOL17が減少しないことが証明された。 2)COL17の減少にTrim21の関与があるか検証する ケラチノサイトにsiRNAを用いてTrim21のノックダウンを行ったところTrim21の70%以上の減少が得られた。この細胞を用いてBP-IgG刺激によるCOL17の減少を1)同様に検証した。複数回繰り返したが、Trim21のノックダウンした細胞でCOL17の量に優位な差は認めなかった。さらに、細胞内のシグナルの詳細を検討した。ケラチノサイトにBP-IgG刺激を行いCOL17のリン酸化を検証したところ、優位にCOL17のリン酸化が増加することが示された。リン酸化は数分以内に検出され、比較的速やかに起こり1時間以上持続した。1)の結果と合わせてCP-IgG刺激により、COL17の細胞内のアミノ酸がリン酸化されると推察されるため、in-silicoで予測した可能性の高いアミノ酸を置換した変異COL17-HEK293細胞を作成した。しかし、変異無しの細胞と比べBP-IgG刺激に対する反応に差は認めなかった。ヒトCOL17を発現するマウスを用いてBP-IgG刺激に対するリン酸化阻害剤の治療効果を検討したところ、ex vivoでは一定の抑制効果を認めた。
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