今後の研究の推進方策 |
1)好酸球性食道炎患者におけるフィラグリン遺伝子変異の検索:引き続き当院消化器内科, およびその関連病院において好酸球性食道炎と診断された患者のIgE, TARC, 特異的IgE(MAST33)の測定ならびにDNA を採取してフィラグリン遺伝子変異の有無を検討する. フィラグリン遺伝子変異に関しては,名古屋大学の倫理委員会において承認された名大医倫理書式2-1-B:ヒト遺伝子解析研究同意書 ”尋常性魚鱗癬の病因であり,アトピー性皮膚炎の発症因子であるFLG遺伝子変異の検索・スクリーニング”に基づき説明,同意を得て,名古屋大学医学部皮膚科秋山真志教授,河野通浩講師のご協力のもと,引き続き好酸球性食道炎,好酸球性胃腸炎,アトピー性皮膚炎の患者において,フィラグリン遺伝子変異の検索を行う. 2)アトピー性皮膚炎患者における食道病変の有無:消化器症状を訴える患者に関し, 積極的に内視鏡を行い食道を中心的に観察する. 3)アトピー性皮膚炎モデル動物での食道病変の誘発実験:NC/Nga 無毛マウスにおいて,種々の物質で感作しアトピー性皮膚炎のモデルを作成.そのモデルマウス食道の炎症の有無、好酸球の浸潤などを検討する. 4)アトピー性皮膚炎病態形成におけるthymic stromal lymphopoietin (TSLP)の関与:好酸球食道炎においてモデルマウスが作成され、thymic stromallymphopoietin の中和抗体, 好塩基球除去で症状が軽減することが報告された(Noti, Nat Med, 2013).そこで, アトピー性皮膚炎患者の血清中のTSLP や病変部でのTSLP の発現と消化器症状の関連, TSLP 遺伝子の多形,アトピー性皮膚炎モデルマウスへのTSLP 中和抗体の投与などを検討する.
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