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2015 年度 実績報告書

深部静脈血栓症におけるsling関連分子の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 26860869
研究機関東京大学

研究代表者

桑野 嘉弘  東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (60625044)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード好中球 / シグナル伝達 / Gai subunit
研究実績の概要

深部静脈血栓症は、深部静脈に血栓を生じることにより、皮膚炎や皮膚潰蕩を生じる疾患である。現在までに、血小板や凝固因子の他、好中球を初めとする炎症細胞の関与が示されている。最近、我々は、好中球がローリング中に細胞の前方に突起状の構造物を形成することを発見し、slingと命名した。slingは流れが速くずり応力が強い時に生じる。深部静脈血栓症では、後毛細血管細静脈よりも径が大きく流れの速い血管が主座となる。最近新しく開発された静脈狭窄モデルでは、血流が保たれるため、slingの解析が可能である。そのため、まず、sling上に発現する細胞接着分子の関与について、静脈狭窄による深部静脈血栓症マウスモデルを各細胞接着分子欠損マウスに用いることにより解析を行ったが、これについては有意な差を認めなかった。接着分子の活性化にはケモカインからのシグナル伝達が重要であることが分かっているため、このシグナル伝達分子について更なる検討を加えることにした。この結果、Gai subunitsはケモカイン受容体のすぐ下流にある分子で、各subunit間で相同性が高いためこれまであまりシグナル伝達に果たす役割についてsubunit間での違いが知られていなかったが、Gai2 subunitを欠損すると好中球ではarrestが抑制され、Gai3 subunitを欠損するとtransmigrationとchemotaxisが抑制されることが分かった。これは深部静脈血栓症においては、Gai3 subunitの抑制やGai2 subunitの活性化により、好中球が血管壁についたまま、血管外に移動していかない、つまりは症状の増悪に働く司能性があることを示唆している。今後、これらの分子を特異的に抑制もしくは活性化することにより、副作用を抑えつつ深部静脈血栓症をコントロ―ルしていくことが可能となることも示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件)

  • [国際共同研究] ラホヤアレルギー免疫研究所(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ラホヤアレルギー免疫研究所
  • [雑誌論文] Gαi2 and Gαi3 Differentially Regulate Arrest from Flow and Chemotaxis in Mouse Neutrophils.2016

    • 著者名/発表者名
      Kuwano Y, Adler M, Zhang H, Groisman A, Ley K.
    • 雑誌名

      J Immunol

      巻: Epub ページ: Epub

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Association of anti-RNA polymerase III antibody and malignancy in Japanese patients with systemic sclerosis.2015

    • 著者名/発表者名
      Saigusa R, Asano Y, Nakamura K, Miura S, Ichimura Y, Takahashi T, Toyama T, Taniguchi T, Noda S, Aozasa N, Akamata K, Sumida H, Miyazaki M, Tamaki Z, Yanaba K, Kuwano Y, Sato S.
    • 雑誌名

      J Dermatol

      巻: 42 ページ: 524-7

    • DOI

      10.1111/1346-8138.12827.

    • 査読あり

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-01-27  

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