本研究では、予後不良の難治性皮膚癌であるメラノーマの細胞増殖、細胞死、遊走に関わる分子として、転写因子Runx3に焦点をあてて解析を行っている。 H26年度では、まずin vitroの解析として、マウスメラノーマ細胞においてRunx3が発現している細胞株と発現していない細胞株があることをPCRを用いて確認した。次にRunx3の発現がないメラノーマ細胞にアデノウイルスを用いてRunx3を過剰発現させた場合とRunx3が発現しているメラノーマ細胞にSiRNAでRunx3の機能を抑制した場合を比較して細胞形態にはほとんど変化が見られなかった。疫学的にRunx3陰性のメラノーマは陽性のものと比較して予後が不良であることが報告されているが、これまでの我々の結果では、増殖能や細胞死、遊走能の検討が十分できていないため、Runx3がメラノーマにおいて腫瘍抑制的か、もしくは逆に促進的かまだ明らかにできていない。現在Runx3の転写因子としての活性を評価するため、Runx3を過剰発現させたマウスメラノーマ細胞とSiRNAでRunx3の機能を抑制したマウスメラノーマ細胞において下流で転写が増減する分子群をマイクロアレイで解析している。
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