研究課題/領域番号 |
26860885
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
峯 嘉子 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (90381235)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アミロイド / ケラチン / 弾性線維 |
研究実績の概要 |
アミロイドーシスは、正常あるいは異常タンパク質が「何らかの契機」でその構造をβシートに変え不溶性線維として体内に蓄積し、組織障害を起こす疾患群である。そのアミロイド線維形成機序は不明である。皮膚アミロイドーシス(AD)は、掻痒と外見上の問題が患者のQOLを著しく低下させる難治性疾患であり、治療開発が切に望まれている。しかしADではケラチンがアミロイド線維を形成すると考えられているもののいまだ確定されていない。本研究ではADのアミロイド線維蛋白質を同定すると共に、そこに共存する分子との相互作用に焦点を当て、他のアミロイドーシスでも明らかにされていないアミロイド線維形成機序の解明を目指す。 H26年度は次の3つの研究を行い、それぞれ成果を得たといえる。 1.アミロイド沈着部位でのケラチン分子の共存の証明: 8種類のモノクローナル抗体による染色を行いCK5が共存していることをしめした。CK5に関してはさらに3種類の抗体確認した。 2.アミロイド沈着部位での弾性線維随伴分子の共存の証明: 10種類の弾性線維随伴分子のモノクローナル抗体を用いて検討した結果、このうちのFBN-Xが特異的にアミロイドと共存することを示した。 3.ケラチン分子の試験管内アミロイド線維形成能力の検定: CK5のアミロイド形成能を示す目的でCK5のC末部分209aaを14本の合成ペプチを、またK1, K14の相同部分を合成ペプチドで合計12本作成した。 全てについてThT binding, β sheet structureにてスクリーニングを行い、Congo-red binding とfiber structure を電子顕微鏡にてCK-5内に3つのアミロイド形成シーケンス候補を見出した。今後は、FBNXとの特的相互作用、ならびに試験管内アミロイド線維形成に対する弾性線維随伴分子の促進活性を検討してゆく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
出来るだけ長い合成ペプチドを作成することにより、1回の予備実験でアミロイド線維形成活性をしめすアミノ酸シーケンスを同定できたことが、計画を予想以上に早く進めている理由の1つである。また特異的結合を示す方法としてbiotin化ペプチドを作成したが、biotin化によりアミロイド形成能が失活しなかったことも理由である。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度は、次の3つを行う。 1)アミロイド沈着部位でのケラチンの同定: 昨年度までにC末端部分のスクリーニングをおえたため、残り半分のN末端側の活性を同様の方法を応用して調べる。 2)ケラチン分子の試験管内アミロイド線維形成能力の検定:活性があると判定できた3つのペプチドそれぞれの活性を比較検討する。 3)試験管内アミロイド線維形成に対する弾性線維随伴分子との相互作用:特異的特異的結合をsolid-phase assayにて行う。またアミロイド線維形活性への影響をレコンビナントタンパク質と合成ペプチドの共存により検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、これまでに保有している抗体、合成ペプチドにて前進させることができた。次年度は症例を増やし今までに得られた結果の再現性の確認、また使用して残量の少なくなったレコンビナントタンパク質の精製、ペプチド合成費用など経費が大きく必要と考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
免疫組織染色・抗体費用 100万円、生化学試薬、器具費用 60万円、レコンビナント蛋白質作成費用 60万円、ペプチド合成費用40万円
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