研究実績の概要 |
この研究計画では、隆起性皮膚線維肉腫の発症機序を明らかにし、新規診断方法および治療薬へと展開するための研究基盤を確立することが目的である。計画している具体的な研究項目は、①隆起性皮膚線維肉腫におけるmicroRNAの発現解析②そのmicroRNAが制御し癌化に関与する蛋白質の探索③①および②で着目したmicroRNAおよび蛋白質による皮膚線維芽細胞増殖メカニズムの検証④診断マーカーもしくは核酸医薬および分子標的薬としての可能性の解析の4つである。 ①隆起性皮膚線維肉腫におけるmicroRNAの発現解析に関して 手術検体組織よりtotal miRNAを抽出し、miRNA の発現をPCR Arrayを用いて網羅的に解析した。正常組織>皮膚線維種(皮膚線維芽細胞の良性腫瘍)>隆起性皮膚線維肉腫(皮膚線維芽細胞の悪性腫瘍)と発現量を示したmiRNAの中で、各種癌にて高発現を示しているmiR-205に着目した。パラフィン包埋組織を用いてin situ hybridization法にてin vivoにおける、また培養細胞株を用いてreal time PCR法にてin vitroにおけるmiRNAの発現を検討したところ、いずれも隆起性皮膚線維肉腫にてmiR-205発現量が低下していた。 ②そのmicroRNAが制御し癌化に関与する蛋白質の探索 ターゲット遺伝子予測データベースであるTargetScan を用いて(version 5.2, http://www.targetscan.org/)、miR-205が発現制御する蛋白質であるLRP-1に着目した。パラフィン包埋組織を用いてin vivoにおけるmRNA量および蛋白質発現を比較したところ、LRP-1の増加を認めた。培養細胞株を用いても同様の結果であった。
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