研究実績の概要 |
乾癬の病態については、近年さまざまな分子メカニズムが報告されたことや、生物学的製剤が登場したことにより、非常にたくさんの知見が得られるようになってきた。しかし、皮膚の局所における細胞の局在やそれらの細胞間の作用機序についてはまだ解明されていないことが多い。 そこで本研究では乾癬患者の病変部皮膚における、制御性T細胞とTh17細胞の分布、また制御性T細胞の中にIL-17産生細胞が存在することが報告される中、実際にこれらの細胞の存在が患者の皮膚症状や末梢血でのIL-17の割合とどのように関わるかを調べ、病態の解明を目的に研究を行うこととした。 方法としては、当院の外来もしくは入院中の尋常性乾癬の患者に対し、研究目的を説明の上、同意を得られた患者からまずは採血を行い、PBMCを抽出し、PMA、Ionomycineにて刺激後培養し、TregについてはCD4+CD25+Foxp3+Tcellをマーカーとして染色、IL-17産生細胞はCD3+CD4+IL-17LA+をマーカーとして染色を行った。また次に同意を得られた患者から乾癬の病変部のより皮膚生検を行い、凍結標本を作成後、切片をCD4、Foxp3、IL-17で蛍光染色し、蛍光顕微鏡を用い皮膚の局所に存在する、制御性T細胞、IL-17産生細胞の数を調べた。末梢血と皮膚局所における制御性T細胞とIL-17産生細胞との関連性を示すことはできなかったが、末梢血においてはTregとIL-17産生細胞は正の相関をとることがわかった(r=0.911)。また乾癬の重症度スコアを示すPASIスコアと乾癬皮膚に存在するTregとIL-17産生細胞の割合は負の相関を示すことがわかった(r=0.981,r=0.966)。
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