研究課題/領域番号 |
26860903
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
羽田 孝司 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90580035)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | インターロイキン33 / ILC2 / 自然リンパ球 |
研究実績の概要 |
申請者らは、遺伝子改変マウス(hK14mIL33tg#1マウス)を作出することにより、インターロイキン33を角化細胞で高発現させると自然リンパ球(ILC2)が産生するTh2型サイトカインによりアトピー性皮膚炎(AD)様の皮膚炎が生じることを見いだした。つまり、IL-33はADなどのTh2皮膚炎に深く関連したサイトカインと考えられた。しかし、その作用の詳細は不明であったため、本研究では、申請者らのチームが樹立した遺伝子改変マウス(hK14mIL33tg#1マウス)を用いて、IL-33のスプライシング・限定分解や活性化機構や、 IL-33活性型アイソフォームの解析と構造決定などによって誘導されるTh2型の皮膚炎の病態を明らかにし、新たな治療標的の開発に寄与することを目的としている。 1.hK14mIL33tg#1マウスとRAG2ノックアウトマウスの交配について 本学は、RAG2ノックアウトマウスの飼育に適したSPF飼育室を有している。次年度の解析に向けて、SPF環境下にて、本年度中にhK14mIL33tg#1とRAG2ノックアウトマウス(RAG2KO)の交配を開始し、T、B細胞がない条件下で角化細胞にIL-33を高発現するマウス系列 “hK14mIL33RAG2KO”を樹立することに成功した。今後、このマウスの解析を行う予定である。 2.IL-33活性型アイソフォームの解析について hK14mIL33tg#1マウスの皮膚炎組織のホモゲネートから可溶性タンパクを抽出し、現有のマウスIL-33 C末端抗体を用いたウエスタンブロッティングを行い、hK14mIL33tg#1マウス皮膚炎組織で過剰に見られるIL-33活性型アイソフォームの同定に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は精子保存であったため、最初のRAG2ノックアウトマウスの作成に時間を要したものの、hK14mIL33tg#1とRAG2ノックアウトマウスの交配を開始し、T、B細胞がない条件下で角化細胞にIL-33を高発現するマウス系列 “hK14mIL33RAG2KO”を樹立することに、既に成功している。
皮膚ホモゲネートからIL-33をウエスタンブロッティング法で解析する手技は、他からは発表されておらず、非常に多くの最適化を必要とする高度な技術であるが、既に手技の確立に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
作出に成功したhK14mIL33RAG2KOマウスについて、皮膚炎の有無を経時的に肉眼的および組織学的特徴を観察する。組織学的解析として、ヘマトキシリン・エオシン染色とトルイジンブルー染色を行う予定である。皮膚から細胞を単離し、炎症細胞の増加について、フローサイトメーターにより細胞数の変動を解析する。血清および血漿中の、IgE濃度、ヒスタミン濃度測定をELISAを用いて実施する。皮膚組織ホモゲナイズ、血清中のケモカインやサイトカインの濃度は、プロテインアレイにより網羅的に測定していく。2型自然リンパ球の細胞数と分布については複数のマーカーに対する抗体を用いてフローサイトメーターで解析する。このように、hK14mIL33RAG2KOマウスについて、皮膚炎の発症における、通常のTならびにBリンパ球や、2型自然リンパ球の役割について検討する。
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