研究課題
[背景]天疱瘡の自己抗原はdesmoglein、democollins、plakinが報告されている。しかしこれら3つの自己抗原で全ての天疱瘡が説明できるわけではなく、未だ知られていない天疱瘡自己抗原も存在すると考えられている。[目的]天疱瘡様の所見を示した患者血清中の新規自己抗原識別[結果]天疱瘡様の症状を呈した患者由来の血清を用い、Immunoblottingを行ったところ約175kDaの未知のたんぱく質バンドを検出した。2次元電気泳動、immunoblottingおよび質量分析を行い、検出された約175kDaのたんぱく質バンドは患者血清中の自己抗体がEarly endosome antigen 1 (EEA-1)と反応したものであることを確認した。患者血清を用いた皮膚切片の免疫蛍光検査法を行った結果を市販の抗EEA-1モノクローナル抗体による染色結果と比較したところ、患者血清による皮膚切片の染色結果は市販の抗EEA-1抗体を用いた染色結果と類似した染色パターンを示し、細胞質が点状に染色された。さらに、我々は効率的に患者血清中の抗EEA-1抗体を検出する目的でEEA-1タンパク質全長をコードしたcDNAを使用し新規BIOCHIP分析法を開発した。その結果、最初の一例を除いた天疱瘡患者のいずれからもBIOCHIP分析では抗EEA-1抗体の存在を検出できなかった。ただし、これまで抗EEA-1抗体を含有していることが判明している膠原病患者由来血清からはBIOCHIP法によりEEA-1を検出することができた。[結論]我々は天疱瘡様所見を示した患者がEEA-1に対して自己抗体を持っていたことを示した。PNPを中心とした天疱瘡患者由来の血清でEEA-1 BIOCHIPをもちいて検索したところEEA-1は天疱瘡における共通の自己抗原ではないことを示した。[捕捉]天疱瘡患者群におけるAIRE遺伝子検索では患者群において1例のAIRE-2, AIRE-3 CDSにおけるSNPを検出した。
上原記念生命科学研究財団研究報告集は本年度研究において出版された170kDa周辺のEEA-1分子探索が求められた背景について記載された報告集にあたる。腫瘍随伴性天疱瘡の未知のp170プロジェクト全体像についての概要を2009年に述べられたもので本プロジェクトについての大枠を知る上で重要な記述が掲載されている。
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Exp Dermatol. [Epub ahead of print]
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doi: 10.1111/exd.12981.
http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/crt/
http://www.med.kurume-u.ac.jp/med/hifusaibou/index.html
https://ueharazaidan.yoshida-p.net/houkokushu/Vol.23/pdf/163_report.pdf