研究課題
皮膚組織パラフィン切片を遺伝子変異誘導蛋白AID(activation-induced deaminase)に対する抗体を用いて免疫組織化学を行った。抗体はインビトロゲン社よりマウス抗ヒトAIDモノクローナル抗体(クローンZA001)を購入した。パラフィン切片をキシレン、エタノールで脱パラフィン処理を行い、pH6.0の抗原賦活用バッファー中で15分間オートクレーブし、抗原を賦活化した。リン酸緩衝生理食塩水PBS(Phosphate buffered saline)で洗浄した後、過酸化水素水で5分間ブロッキングを行い、リン酸緩衝生理食塩水PBSで洗浄した。50倍希釈した抗ヒトAIDモノクローナル抗体(クローンZA001)と37度で1時間反応させた。リン酸緩衝生理食塩水PBSで洗浄した後、シンプルステイン(ニチレイバイオサイエンス)を30分間反応させ、リン酸緩衝生理食塩水PBSで洗浄した。蒸留水で1分間流水水洗し、マイヤーのヘマトキシリンで染色を行った後、流水水洗を10分行い、封入を行った。この染色法の結果、陽性コントロールであるリンパ節は陽性に染色され、陰性コントロールである一次抗体に抗ヒトAIDモノクローナル抗体を用いない染色では組織は染色されなかった。有棘細胞癌の組織をこれらの免疫染色法で染色したところ、97名の有棘細胞癌患者の中AIDが発現しているのは49症例であった。経過観察中再発症例では8症例全例でAIDが発現していた。リンパ節転移、肺転移例ではそれぞれ14、2症例全例でAIDが発現していた。と発現がほとんど観察されない症例に分類され、予後について追跡調査を行っている。これらの結果から、AID発現皮膚有棘細胞癌症例は予後が悪い可能性が示唆され、今後皮膚有棘細胞癌の予後を占うマーカーの1つにAIDが用いられることが期待される。
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