研究課題/領域番号 |
26860913
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石井 礼花 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40609020)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 注意欠如多動性障害 / 光トポグラフィー / 塩酸メチルフェニデート / ペアレントトレーニング |
研究実績の概要 |
本研究は小児期の注意欠如多動性障害(ADHD)に対して薬物と心理社会的治療の選択を行うための客観的指標を開発することを目的とする。ADHDは小児期に最も多く見られる精神疾患で、薬物治療として、特に塩酸メチルフェニデートの治療が有効とされ、また、心理社会的治療としてペアレントトレーニングの治療が有効とされる。薬の副作用の問題、心理社会的治療を提供できる施設の不足の問題があるものの、薬物療法と心理社会的治療のどちらを選択するかの基準は明らかとなっていない。本研究の指標として、安全、簡便に外来で施行できる光トポグラフィー (NIRS)を用いる。当該年度においては、NIRSを用いて薬物の長期内服の影響と薬物効果の予測するための研究結果を論文化し、投稿、受理された。本研究成果によって、今後、さらに多施設、多人数での検討、ほかの薬物や治療法との比較も行ったうえで、治療選択の客観的指標を導入する事により、個別治療が可能となり、薬物の長期内服での副作用を最小限に抑えることができ、治療アドヒアランスの向上が見込め、ADHD児の成人期の予後改善につながると考える。また、ペアレントトレーニングについて、テキスト・プログラムの作成を行ったうえで、7クールのトレーニングを行い、比較対象群と比較した。治療前後でADHD症状、問題行動、親のストレス、報酬系の問題などのスコアが改善するかどうかを解析、検討を行い、論文化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光トポグラフィーによる注意欠如多動性障害への塩酸メチルフェニデートの治療の効果予測についての論文を投稿し、Neuropsychopharmacologyに受理された。また心理社会的治療であるペアレントトレーニングについて7クール終了し、その治療効果を比較対象群と比較した解析検討を行い、論文化を行ったことより、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、当該年度においては、薬物療法、ペアレントトレーニングをそれぞれの検討を行ってきたが、次の段階としては、塩酸メチルフェニデートと、ペアレントトレーニングをランダム化比較試験を行う必要があり、参加者募集を行う必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由としては、予定していた物品の購入を行わず、今まで使用していたものを使用したため、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
ノートパソコンが、老朽化しているため、購入費にあてる予定である。
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