研究課題
光トポグラフィーを用いた塩酸メチルフェニデート(MPH)の効果の予測においてはMPH 単回内服後のNIRS 信号が内服前よりも高くなる程、1 か月継続MPH 内服後の治療効果(医師の全体評価:CGI-S)が高いという結果を見出した。この結果は、1 年間MPH を内服した臨床評価にも再現された。単回内服でのNIRS 信号により長期的なMPH の効果を予測できる可能性を示し(判別率81%)、薬物開始における客観的指標とるなりうる可能性が示唆された。また、ベースラインアセスメントにおいてADHDは、健常群に比較して有意に右下前頭回のNIRS信号が低かった。単回内服試験においては、ADHD群において、MPH内服時にプラセボ内服時と比較して有意に右下前頭回のNIRS信号が高くなった。また、4~8週間のMPH内服後においてADHD群は、健常群とNIRS信号の高さに差が認められなくなった。さらに、1年間MPHを内服したのち1週間休薬してから行ったNIRS検査においては、休薬したにも関わらず、ADHD群は健常群とNIRS信号に差が認められなかった。つまり、未内服のADHD群は、健常群と脳機能の差があったが、MPH内服を継続することによって、健常群と脳機能の差が減少する可能性が示された。これらの成果は平成27年11月に、Neuropsychopharmacologyに掲載された。ペアレントトレーニングの効果検証では、小学生ADHD児の母親が10 回のセッションに参加し、通常診療のみ受けているコントロール群との治療効果の比較を行った。ペアレントトレーニングを行った群で、こどもの問題行動の指標および親のストレス度、ネガティブな養育行動が改善するという結果を得た。
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Neuropsychopharmacology.
巻: 40 ページ: 2676-2685
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Addict Biol.
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http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/utokyo-research/research-news/biomarker-for-predicting-medication-effect-in-adhd.html