研究実績の概要 |
本研究は、統合失調症の発症や、グルタミン酸NMDA受容体遮断薬フェンサイクリジン(PCP)による統合失調症様症状の誘発が発達依存的である(神経発達の臨界期以後である)ことに注目して、我々が同定した遺伝子について遺伝子関連解析を行うことを目的としている。これまでに我々は、マイクロアレイデータの結果と標的遺伝子予測プログラムを組み合わせることで、マイクロRNAの標的遺伝子として抽出された遺伝子と統合失調症との関連研究を行ってきた。以前に申請者は、PCP投与ラットにおいて臨界期以降にのみ発現が誘導されるprt6遺伝子内にある2つのマイクロRNAの標的遺伝子のうち、ヒストン関連遺伝子であるH2AFZ(H2A Histone Family, Member Z)遺伝子と翻訳調節に関わるポリA関連タンパクをコードするPST1(PCP-suppression transcript 1)遺伝子を解析した。その結果、H2AFZ遺伝子と男性統合失調症患者との関連を示した。これらの遺伝子の他にもprt6遺伝子内にあるマイクロRNAの標的遺伝子は複数あり、機能的な側面から統合失調症との関連が疑われるものも散見される。そこで、本研究では、日本人健常者2000人と統合失調症患者2000人の末梢血から得られたゲノムDNAを用いて、これらの遺伝子のSNPsに関するケースコントロール研究による関連解析を行っている。今年度は昨年度に引き続きジェノタイピングを行なっている。
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