研究実績の概要 |
本研究の目的は、乳幼児期の聴覚刺激に対する脳反応を小児用脳磁計 (magnetoencephalography,MEG)を用いて計測し、併せて臨床的な行動評価との変化を見ることにより、自閉症スペクトラム障害(Autism spectrum disorder,ASD)である言語や社会性の障害を早期に捉えうる可能性を検討することである。そのため、生後3か月から36か月にある乳幼児を対象に、人の声や音によって引き起こされる大脳皮質の反応を小児用MEG により捉え、月齢との関連について調査を行った。また、同一被験者に対し、数回の脳機能計測と行動学的評価を実施し縦断的な脳反応データと臨床的な言語や社会性能力の発達との関連性について検討を行った。 調査の結果、2歳から10歳の定型発達児と自閉症スペクトラム障害児では、人の声に対する脳反応の成長パターンが異なることが明らかとなった。この結果について、国際ジャーナルAutism Researchに報告した。 2歳以下の乳幼児のデータについては、まだ人数が少なく現在までの解析に含めることはできてきない。継続して0歳台からの乳幼児を対象とし、縦断的な脳機能データ測定と行動学的評価を行っていく。今後さらに幅広い年齢を含め、乳幼児期の言語や社会性の発達に関連する脳機能について調査を継続していく必要があると考えている。
|