研究課題
神経性無食欲症(AN)は低体重とボディイメージの障害が特徴的な精神障害であり、様々な認知機能の障害が見いだされている。ANの先行研究では免疫系の異常が示唆されている。またpositron emission tomography(PET)を用いた研究ではセロトニン(5-HT)系の異常が見いだされている。そこで、脳内で免疫反応を担う活性化ミクログリアとセロトニントランスポーター(5-HTT)の変化をPETで明らかにして、認知機能障害との関連を明らかにすることを目的とした。AN女性患者20名(平均年齢25.0±6.0歳、BMI14.1±1.3)と健常女性20名(22.8±3.7歳、BMI20.6±2.4)を募集し、神経心理タスクとPET撮像を行った。全般的な知的能力に差は無かったが、ボディイメージの障害を基に独自に作成した体型認知に関するタスクにおいて、AN患者は有意にパフォーマンスの低下が認められた。またPET撮像ではAN患者群で活性化ミクログリアの上昇と5-HTTの低下がみられた。更に体型認知のタスクの成績と5-HTTのPETの値が相関した。これらの事から、我々が独自に作成したタスクがANの認知機能障害を検知できる可能性が示唆された。更に活性化ミクログリアと5-HTTとの間の関連やそれらとANの認知機能障害との間の関連についても見いだされた。今後はANの回復者も募集して研究を進めていき、症状改善に寄与する病態を見つけていきたい。
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J Cereb Blood Flow Metab
巻: Apr 26 ページ: Epub