研究課題
統合失調症では、治療によって精神症状の改善が見られたとしても、対人関係、日常生活機能、就労などをはじめとした機能的転帰としての社会機能の改善は難しいことが知られている。統合失調症患者の社会生活機能を左右する要因として認知機能と精神症状が大きな要因とされているが、それに加えて、社会的スキルの能力も患者の社会生活機能に影響する重大な要因である。そのような関係を明らかにするために、健常者と統合失調症患者を対象としてこれらの要因の関連を検討した。そのような関係を明らかにするために、健常者、統合失調症患者を対象としてこれらの要因の関連を検討した。その結果、社会的スキルや社会機能は認知機能や精神症状と関連することを明らかにした。さらに、認知機能のレベルが就労に与える影響を、社会的スキルが媒介しているというモデルは、得られたデータにもよく適合していた。以上の結果から、統合失調症患者においては、社会生活機能の一部は社会的スキルを介した認知機能の程度によって影響されていることが示唆された。また、日本人統合失調症患者においても海外の研究で報告されているようなモデルが成立することを示した。認知機能、社会生活機能をターゲットとした介入が、統合失調症患者の社会機能、quality of lifeの向上に貢献する可能性が示され、統合失調症患者の社会機能障害における諸要因の影響を明らかにした。さらに、統合失調症患者と健常者の脳構造画像により、脳体積と社会機能との関連を検討した。その結果、特定の脳部位と認知機能、社会機能検査との関連を認めた。統合失調症患者における、社会機能障害には、脳体積の減少と関連がある可能性を示唆した。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件)
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