研究課題
「尿中及び唾液中のストレスマーカー」及び「脳機能」を児童思春期における総合失調症群とハイリスク群にて測定を継続中である。プレ実験として統合失調症群と健常群における「尿中及び唾液中のストレスマーカー」及び「脳機能」の測定を行っている。また、急性期と慢性期の統合失調症群、当科受診中の成人の統合失調症ハイリスク群に対して早期介入を行い、早期介入群のストレスマーカー、脳機能、精神症状を経時的に測定している。現在まで慢性統合失調症患者における他の酸化ストレスマーカーについて調査し、報告した。29人の慢性統合失調症患者群および30人の健常者群における尿中biopyrrinsおよび尿中8-hydroxydeoxyguanosine(8-OHdG)濃度と精神症状との関連について評価した。慢性統合失調症患者の尿中biopyrrins濃度は、健常群に比べて有意に高かった。尿中biopyrrin濃度およ罹患期間において、有意な相関を認めた。2群間の尿中8-OHdG濃度に有意な相違は認めなかった。慢性統合失調症患者において、尿中biopyrrins濃度はBPRSスコアで有意な相関を示した一方、尿中8-OHdG濃度はBPRSによって有意な相関を示さなかった。尿中8-OHdG濃度が増加しない期間においても、尿中biopyrrins濃度は、慢性統合失調症患者において増加することが明らかになった。これらの所見は、慢性統合失調症患者が一定の酸化ストレス下にいることを示唆した。さらに、急性期と慢性期の統合失調症群の尿中biopyrrins濃度についても比較しており、急性期での濃度の上昇が大きいことが判明した。唾液中アミラーゼ値においても同じ傾向がみられており、現在、論文作成中である。脳機能と酸化ストレスマーカーとの関連については現在解析している。この結果をもとに、児童思春期の統合失調症予防のためのスクリーニングシステムの作成をおこなう。
3: やや遅れている
統合失調群、ハイリスク群の検体収集について、様々な予期せぬ出来事により、当初の予定よりも検体の収集に遅れが生じているため、検体の分析を出すことができず、年度内に予定していた計画を遂行することが困難となった。
本学教育学部教授、本大学附属小、中、高校学校と連携し、健常児童群にて健常群を収集予定である。また、当院小児科、子どものこころ診療部医師、精神科医師との連携により半構造化面接を行い、統合失調症群、ハイリスク群の患者を引き続き集積する。知能評価は臨床心理士と連携して行う。脳機能検査、自律神経機能測定は専属の検査技師、唾液や尿検体は大学院生、研究員に協力を頂き測定する。脳機能画像の撮影、解析は当院神経内科学、放射線医学講座の協力を得る。さらに本学保健管理センター教授や当講座の准教授、教授に解析の助言をいただく。
児童思春期の検体の収集に当たっては、感染症等の様々な予期せぬ出来事により、当初の予定よりも被験者の収集に遅れが生じているため、検体の分析に出すことができず、次年度使用額が生じた。
本学教育学部教授、本大学附属小、中、高等学校と連携し、健常児童群にて健常群を収集している。また、当院小児科、子どものこころ診療部医師、精神科医師との連携により半構造化面接を行い、統合失調症群、ハイリスク群の患者を引き続き集積し、解析について次年度は計画どおりに遂行する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
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