研究課題/領域番号 |
26860928
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
淵上 学 広島大学, 大学病院, 病院助教 (40403571)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 心的外傷後ストレス障害 / 脳由来神経栄養因子 |
研究実績の概要 |
今年度は、顕著な恐怖記憶の消去(extinction:Ext)障害を呈することを報告されているPTSDモデルであるsingle prolonged stress (SPS)パラダイムを用い、脳由来神経栄養因子(BDNF)を海馬やmPFCのsubregionに投与することで、PTSDにおけるExt障害の形成に関与するBDNFの役割を検討した。 カニューレ留置のための定位脳手術の一週後にSPS処置を行い、さらに一週後に文脈的恐怖条件付け試験を行い、Ext障害を評価した。局所投与の標的領域は、IL mPFC、Prelimbic (PL) mPFC、腹側海馬とし、Extに関しては、恐怖条件付けの一日後、二日後で評価した。 既報と同様に、PTSDモデルでは、文脈的恐怖条件付け試験でのすくみ行動が延長していた。SPS負荷を行わない対照群ラットのみならず、SPSラットでも、IL mPFC、腹側海馬へのBDNF投与では、PBS投与群と比較し消去実験一日目から有意にすくみ行動の短縮を認め、消去実験2日目にも効果は有意であった。一方で、PL mPFCへのBDNF投与は、両日ともPBS投与群との間にすくみ行動の有意な差は認めなかった。この結果からは、BDNFのILmPFC、腹側海馬への投与は、PTSDにおけるExt障害を改善させることが示唆された。 引き続き、SPSにおけるBDNFの発現変化、BDNF局所投与後の受容体(TrkB)のリン酸化の評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
行動実験の実施と期待された結果が概ね得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
概ね計画通りに行動実験が行えており、今後は生化学的実験(ELISAや免疫染色など)を引き続き実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
行動実験の実施を先行させ、当初予定していた生化学的実験を次年度に繰り越したため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度に予定していた行動実験の一部は昨年度に実施しており、昨年度に予定していた生化学的実験も併せて本年度に実施する。申請時の必要経費の大部分は、生化学的実験に要する消耗品費であり、次年度使用額、翌年度の助成金と併せて、一部は動物の購入・飼育費に使用するが、残額は消耗品費で使用する。
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