研究課題/領域番号 |
26860931
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
木下 誠 徳島大学, 大学病院, 特任助教 (40622478)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 統合失調症 / ホモシステイン / ゲノムワイド遺伝子関連解析 / 遺伝子多型 |
研究実績の概要 |
統合失調症は罹患率1%と頻度が高く、WHOによると長期的な障害をきたす疾患のうちでトップ10に入る主要疾患である。統合失調症は多因子疾患であり、遺伝因子と環境因子が相互に作用して発症すると考えられている。ホモシステインは必須アミノ酸の1つであるメチオニンの代謝過程で生成されるアミノ酸で、高ホモシステイン血症が統合失調症のリスク因子の1つであることが、複数の疫学観察研究論文で報告されている。 統合失調症患者の血漿ホモシステイン濃度に影響を与える遺伝子多型で、これまでに同定されているのはMTHFR遺伝子C677T多型だけである。本研究では、ゲノムワイドなジェノタイピングアレイを用いて、統合失調症患者の血漿ホモシステイン濃度に影響を与える新規の遺伝子多型を同定する世界初の試みである。アレイを用いることにより特定の仮説に基づかない新たな知見が期待でき、その結果未知の遺伝子多型を複数発見することが可能であると考え、研究を行った。 研究参加の同意が得られた対象者から約20mlの静脈血採血を1回行った。採取したサンプルの末梢白血球を用いてゲノミックDNAの抽出を行い、血漿ホモシステイン・ビタミンB6・ビタミンB12・葉酸の測定を株式会社エスアールエルに依頼し、測定を行った。 男性229名、女性155名の合計384名の統合失調症患者からゲノミックDNAを採取し、Illumina社製HumanCore BeadChip kitを用いてゲノムワイドなジェノタイピングを行い、統合失調症患者において血漿ホモシステイン濃度に影響を与える遺伝子多型の同定を行った。マイナーアレルのadditiveモデルで、PLINKを用いて、線形回帰分析を行った。その結果、3つの遺伝子多型において、血漿ホモシステイン濃度との有意な関連を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では、平成26年度中に、合計500名程度のサンプルを用いてゲノムワイド遺伝子関連解析を行う予定であった。 現在男性229名、女性155名の合計384名の統合失調症患者からゲノミックDNAを採取し、ゲノムワイドなジェノタイピングを行うことが出来た。当初計画に比べ、解析サンプル数はやや減少したものの、3つの遺伝子多型において、血漿ホモシステイン濃度との有意な関連を同定することが出来たため、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に同定した統合失調症患者で血漿ホモシステイン濃度に影響を与える遺伝子多型について、ABI社7500 Real Time PCRを用いて疾患遺伝子関連研究を行う。当教室ではこれまでに統合失調症の遺伝子関連研究を複数行ってきており、統合失調症患者1,500名、健常者3,000名のゲノミックDNAをすでに収集済みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進める上で、残高が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度への繰越金は、消耗品に使用予定である。
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