統合失調症は罹患率1%と頻度が高く、WHOによれば長期的な障害をきたす疾患のうちでトップ10に入る主要疾患であり、思春期から成人早期に発症し、慢性・再発性の経過をたどる。統合失調症は多因子疾患であり、遺伝因子と環境因子が相互に作用して発症すると考えられている。ホモシステインは必須アミノ酸の1つであるメチオニンの代謝過程で生成されるアミノ酸で、高ホモシステイン血症が統合失調症のリスク因子の1つであることが、複数の疫学観察研究論文で報告されている。統合失調症患者の血漿ホモシステイン濃度に影響を与える遺伝子多型で、これまでに同定されているのはMTHFR 遺伝子C677T多型だけである。本研究は、ゲノムワイドなジェノタイピングアレイを用いて、統合失調症患者の血漿ホモシステイン濃度に影響を与える新規の遺伝子多型を同定する世界初の試みである点が独創的で、アレイを用いることにより特定の仮説に基づかない新たな知見が期待でき、その結果未知の遺伝子多型を複数発見することが可能であると考え、研究を行った。 男性229名、女性155名の合計384名の統合失調症患者のゲノミックDNAを用い、Illumina社HumanCore BeadChip kitを用いてゲノムワイドなジェノタイピングを行い、統合失調症患者において、血漿ホモシステイン濃度に影響を与える遺伝子多型の同定を行った。 マイナーアレルのadditiveモデルで、3つの遺伝子多型において、血漿ホモシステインと有意な関連を同定した。
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