研究課題
本年度は年時研究計画で示した「ミクログリア作成法の確立」について中心的に研究を遂行した。その結果、末梢血からミクログリア様細胞を作成することに成功した。作成した細胞は分子生物学的・免疫学的アプローチからミクログリア様であることを証明した。なお、この成果は論文(M. Ohgidani, et al.,Scientific Reports)として報告した。確立した作成法:上腕静脈より採血を行い、フィコールによる密度勾配遠心を行う。無菌的に単核球層を回収し、単球を分離する。分離した単球は培養容器に播種し、翌日誘導用培地(GM-CSFおよびIL-34を含む)に培地交換し、14日間培養を行う。ミクログリアとしての評価法:上記作成法により作成したミクログリア様細胞は、ミクログリア特異的な表面マーカー(CCL2・CX3CR1・CD45・CD11b・CD200R・CD14)、細胞機能(薬剤に対する遺伝子応答・貪食能・サイトカイン産生能)を用いてミクログリア様細胞であることを証明した。今後の展開:上記の結果より、末梢血から作成したミクログリア様細胞はヒトのミクログリアとして機能することが確認された。今後は、このミクログリア様細胞を疾患群で作成し、健常群との比較を試みる予定である。次年度は計画書の通り、1)ミクログリア単体での比較解析、2)活性化ミクログリアが他の脳細胞へ及ぼす影響の比較解析を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、研究計画に記した平成26年度の目標である体細胞からのヒト由来ミクログリア作成法の確立に成功した。よって、おおむね順調に進展していると判断した。
本年度の結果から、末梢血から作成したミクログリア様細胞はヒトのミクログリアとして機能することが確認された。今後は、このミクログリア様細胞を疾患群で作成し、健常群との比較を試みる予定である。次年度は計画書の通り、1)ミクログリア単体での比較解析(活性化因子添加後の反応強度を健常群と疾患群で比較する)、2)活性化ミクログリアが他の脳細胞へ及ぼす影響の比較解析を行う予定である。最終年度には、新規治療分子の探索および向精神薬のミクログリアに対する薬理作用の解析を行う予定である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Scientific Reports
巻: 4 ページ: 4957
10.1038/srep04957