研究課題/領域番号 |
26860944
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
菊地 俊暁 杏林大学, 医学部, 助教 (20365373)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | fMRI / 安静時 / デフォルトモードネットワーク / 機能的結合性 / うつ病 / 認知行動療法 |
研究実績の概要 |
DSM-IVにおける大うつ病性障害を満たし、抗うつ薬の投与がないか、もしくは8週間以上投薬が固定されている患者を対象としてfMRIの撮像を行った。その後、厚生労働省のマニュアルに基いた認知行動療法(CBT)を計16回、訓練を受けた医師もしくは臨床心理士が個人セッションで施行した。 現段階では12名がエントリーをされ、9名が治療を終了し、2名が治療中、1名が撮像および治療前に改善したため研究には組み入れなかった。 現在までに治療が終結した患者9名の安静時に関する解析を行った。課題時fMRIについては統計学的パワーの問題から集団解析は行っていない。安静時fMRIは開眼し画面上の注視点を凝視し、何も考えないように依頼して撮像した。 画像の処理・解析にはFSL(http://www.fmrib.ox.ac.uk/fsl)を使用し、 Biswalらが行った方法に基いた(Biswal BB et al. . Toward discovery science of human brain function. Proc Natl Acad Sci U S A 2010.)。関心領域を後部帯状回/楔前部(PCC/PC; -5, -49, 40)とし、PCC/PCと機能的結合性を有する部位を全脳解析で得たうえで、混合効果モデルを用いてQIDSの得点の改善率との相関を求めた。クラスター閾値をZ >1.8、有意閾値をp<0.05として相関する領域を特定したところ、PCC/PCと腹内側および背内側前頭前野との機能的結合性と改善率が相関することが明らかとなった。 本結果は途中段階ではあるが、うつ病に対するCBTの治療予測として当該領域の結合性が因子となり得る可能性が示唆された。スキルの一つであるセルフモニタリングが、否定的な反芻性の思考から距離をとり客観的に捉えることを可能としているのかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年間で約10名のエントリーを目標としていた。結果、12名のエントリーであり、1名は研究に組み入れられなかったものの、11名は治療が終結もしくは継続中である。予定の人数まで達することができると想定される。
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今後の研究の推進方策 |
今後も患者のリクルートを重ね、現在のペースで組み入れができるように遂行していく。解析については、20名に達したところで本解析とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
発表を考えていた学会が年度を越えた6月であり、その旅費が使用できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
患者のリクルートを進め、また集積した段階で解析を順次行っていく。また、6月および秋期の学会において研究の途中成果を発表していく予定である。
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