研究課題/領域番号 |
26860945
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
笠貫 浩史 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90648859)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | レビー小体型認知症 / 早期診断 / ドパミントランスポーターイメージング / 心拍変動解析 |
研究実績の概要 |
(1)レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies: DLB)早期状態の特徴を明らかにするために、すでに中核症状の揃ったprobable DLB群(advanced DLB: ADV-DLB)18例と、中核症状を欠くが前駆症状を複数持ち、頭部FDG-PET画像上一次視覚野に低代謝を認める早期状態群(early stage DLB: EST-DLB)25例のドパミントランスポーター(dopamine transporter: DaT)SPECT所見と臨床症状の関連性を検討した。線条体領域のドパミンリガンド結合率(specific binding ratio: SBR)に関して、EST-DLB群では正常域より有意に低下していた。また、臨床症状との関係は、ADV-DLBではSBRがパーキンソニズムと相関することに対してEST-DLBではレム睡眠行動障害および嗅覚障害の罹患期間とSBRが逆相関を示した。このことはDLBの黒質線条体経路と他部位の病理進展の速度が病期によって併行する可能性を示している。(学会発表1) (2)Probable DLBの心臓交感神経障害を高い精度で検出する心筋シンチグラフィー所見と心電図による心拍変動所見(heart rate variability: HRV)との相関性について検討をした。結果、HRVの複数のパラメータが心筋シンチグラフィーの指標と相関することが明らかとなった。このことは簡易な日常生理検査がDLBの診断補助となりうることを示している。(学会発表4, 英論文2) (3)DLBの疾患感受性遺伝子に関する知見は乏しいため、アルツハイマー病で記憶障害との関連性が指摘されているKIBRA遺伝子、およびアポリボ蛋白遺伝子多型に関してDLBコホートで解析を行った。結果は両遺伝子ともに遺伝統計学的な明らかな関連性は見いだせなかった(学会発表5, 6)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的であるレビー小体型認知症の早期診断に関して、候補となるバイオマーカーを用いた臨床研究を行い、一定の成果が得られたため。また、本研究に関連した成果は、今後も学会発表や論文報告を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
学会発表を行った研究内容に関しては今後原著論文として投稿予定である。また、レビー小体型認知症早期状態群と考えられるコホートについては縦断的フォローアップを行い、定時期に臨床評価・神経画像評価・神経心理評価を再度実施することで、認知症への移行時期や中核症状出現時期の順序等、臨床的特徴を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定したデータ処理用のパソコン購入を見合わせたため。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、繰り越し使用額分に関してはデータ処理機器等の消耗品購入に充填する予定であったが、研究代表者の米国留学が決定したため、今後研究を中断せざるを得ない状況である。
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