レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies: DLB)の早期状態の特徴を明らかにするために、すでに中核症状の揃ったprobable DLB群(advanced DLB: ADV-DLB)と、中核症状を欠くが前駆症状を複数持ち、頭部FDG-PET画像上一次視覚野に低代謝を認める早期状態群(early stage DLB: EST-DLB)のドパミントランスポーター(dopamine transporter: DaT)SPECT所見と臨床症状の関連性を検討した。線条体領域のドパミンリガンド結合率(specific binding ratio: SBR)に関して、EST-DLB群では正常域より有意に低下していた。また、臨床症状との関係は、ADV-DLBではSBRがパーキンソニズムと相関した。一方、EST-DLBではSBRとパーキンソニズムとの相関は無く、レム睡眠行動障害および嗅覚障害の罹患期間とSBRが逆相関を示した。このことはDLBの黒質線条体経路と他部位の病理進展の速度が病期によって併行する可能性を示した。(学会発表2)おもな結果に関して、現在国際専門誌への原著論文として投稿中である。今後、同様の症例数を増やして検討を継続する予定であったが、研究代表者が米国研究機関へ留学することになったため、本研究は平成27年度にて終了となった。
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