研究課題/領域番号 |
26860946
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
小林 伸行 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20385321)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | うつ病 / 双極性障害 / 気分障害 / 炎症性サイトカイン |
研究実績の概要 |
気分障害において炎症性サイトカインの上昇が報告されているが、その上昇の原因や脳への影響は明らかではない。本研究では、サイトカイン上昇を来す要因を明らかにし、気分障害に関わるサイトカイン上昇の分子機構及び気分障害の精神症状に特異的なサイトカイン種を明らかにすることにより、気分障害の発症機構の糸口を得ることを目的とする。 本学倫理委員会の承認を得て、東京慈恵会医科大学附属病院及び同柏病院精神神経科に通院または入院中の気分障害患者を対象にリクルートを行った。研究参加に際し、本研究の主旨を説明し、同意が得られた被験者から、唾液、血液を採取し、モンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)及びベックのうつ病評価尺度を用いて、うつ症状の評価を行った。平成27年3月までに69名の協力を得ることが出来た。今後も引き続き、リクルートを行っていく予定である。 中間解析の結果、炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)-1β、ケモカインであるMonocyte Chemotactic Protein-1(MCP-1)やインターフェロン応答遺伝子である2', 5'-oligoadenylate synthetase(OAS)遺伝子のmRNA発現とうつ症状の重症度が相関した。今後、検体数を増やし、結果の再現性を確認する予定である。 血液中のタンパクレベルでのサイトカイン発現は未だ検討していない。検体数を確保した上で、測定を行う方がより効率的であると考えられたため、平成27年度以降に測定を行う予定である。 これらの結果は、血液検査によってうつ症状評価を行うことが可能となるバイオマーカーの開発に繋がる可能性がある。このことはうつ病の早期発見、早期治療に役立つものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今のところ、順調に被験者のリクルートが進んでおり、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度も平成26年度に引き続き、被験者のリクルートを行い、ある程度症例が確保できた段階で、血液中のサイトカイン濃度を測定する予定である。 また、平成27年度には計画通り、動物実験を開始する予定である。臨床研究から得た結果を動物実験にフィードバックすることで、炎症性サイトカインの精神症候学的意義を解明することを目指す。 上記計画により、気分障害の発症機序の一旦を明らかにし、診断バイオマーカーの開発に向けて、本研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画当初、平成26年度に炎症性サイトカインの血液中の発現をLuminexシステムで測定する予定であったが、効率性から、平成27年度以降に測定することとした。そのため、平成26年度の使用額が減額された。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度には、検体数も十分確保されることが予想されるため、臨床検体を用いた各種測定を行う。そのための費用がかかる見込みである。 さらに、平成27年度より、動物実験を開始する予定であるため、その解析費用がかかる見込みである。
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