研究課題/領域番号 |
26860953
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
阿竹 聖和 産業医科大学, 医学部, 助教 (80721761)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | うつ病 / 抗うつ薬 / 治療反応予測 / RCT |
研究実績の概要 |
本研究(略称PRADA試験)は、日本人大うつ病性障害患者の第一選択抗うつ薬への治療反応性を高めるとともに、第二選択抗うつ治療として、第一選択薬からの切り替えもしくは増強療法の効果反応予測を多方面から検討することで、第二選択薬まででいかに寛解率を高めることができるかをRCTで検討する研究である。治療反応予測に、患者背景、うつ病のサブタイプ、各種遺伝子多型やバイオマーカー、頭部MRIなどを解析・同定することで、各個人に適したうつ病のテーラーメイド医療を実現することを目的としている。 本研究は2段階のプロトコールで行われる。すなわち、①うつ病患者に対する1stラインの薬物治療としてSSRIであるエスシタロプラムによる治療反応予測因子を探るPRADA 1stと、②2)SSRIによる治療で寛解に至らなかった症例について、切り替え(switching)もしくは増強療法 (augmentation)による治療反応予測及びその両者の判別因子を探るPRADA 2ndの2段階である。 PRADA 1stでは、エスシタロプラムによる治療を8 週間行い、治療前と治療後のデータ(背景情報、臨床症状、社会機能、バイオロジカルマーカー、頭部MRIなど)を比較する。PRADA 2ndでは、2ndラインの薬物治療として、1stラインのSSRIによる治療で非寛解であった患者を、別のクラスの抗うつ薬(SNRI)であるデュロキセチンに切り替える群(switching)と主剤はそのままに非定型抗精神病薬のアリピプラゾールによる増強療法を行う群(augmentation)の2群に無作為に割り付け、各々8 週間の治療での効果の差異について検討する。 現在、目下症例集積中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
症例集積が計画より大幅に遅れており、本研究にエントリーする症例が予定より少ない状況。 また、第一選択薬であるエスシタロプラムへの反応性がかなり良いため、第二選択薬として「切り替え」か「増強療法」かに無作為に割り付ける段階に至る症例はさらに予定より少ない状況。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、症例集積担当医師にはたらきかけ、より多くの患者にエントリーしてもらえるよう症例集積の努力を続ける。 また、得られた全てのデータを適切な統計手法で解析し、目標症例数に届かないまでも、本研究の途中経過として学会や論文を通して成果発表する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
症例集積が予定より遅れてたことで、①検体測定も予定より少なく、設備備品費が予想よりかからなかったことと、②途中経過の成果発表として国内学会での発表を予定していたが、発表を断念したことなどが理由として挙げられる。
|
次年度使用額の使用計画 |
得られた全てのデータを中立の第三者機関で統計解析するための費用、日本臨床精神神経薬理学会や欧州神経精神薬理学会などで成果を発表するための費用、論文化する際に英文校正をかけるための費用などとして使用予定である。
|