当研究ではMRI画像に統計的パターン認識の手法を用いて、うつ病群、躁うつ病群、対照群を分類して診断補助に使用するための方法を確立することを目指している。 平成28年度はうつ病群8名、躁うつ病群13名、対照群17名の各MRI画像(T1強調画像、FLAIR画像、拡散強調画像、安静時機能的MRI)の撮像を終了した。前年度までに取得したデータを含め、うつ病群20名、躁鬱病群16名、健常者群17名となった。 PRoNToという解析ソフトを用いてT1強調画像から求めた灰白質密度画像と拡散強調画像から求めた拡散異方性画像を用いた統計的パターン認識の解析を行った。灰白質密度に対してサポートベクターマシーン(SVM)を用いた分類では、うつ病群と対照群、躁うつ病群と対照群をそれぞれ100%の確立で正しく分類した。しかし、うつ病群と躁うつ病群の分類の精度は53.12%であった。同様に拡散異方性画像に対してSVMを用いた分類では、うつ病群と対照群、躁うつ病群と対照群、うつ病群と躁うつ病群の分類精度はそれぞれ46.88%、29.03%、39.39%であった。つまり、灰白質密度画像を用いたときの方が拡散異方性画像を用いたときに比べて高い確率で群間の分類が可能であった。最後に、灰白質密度画像と拡散異方性画像の両方に対してサポートベクターマシーンを用いた分類の結果は、灰白質密度画像のみを用いた結果とほとんど変化しなかった。これは拡散異方性画像による分類への寄与が小さいことが原因と考えられた。
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