研究課題/領域番号 |
26860962
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 扶美 北海道大学, 大学病院, 助教 (80399865)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 乳癌 / MRI / 拡散尖度画像 / サブタイプ |
研究実績の概要 |
乳癌はER、PgR、HER2および細胞増殖能の指標であるKi-67といったバイオマーカーによりいくつかのサブタイプに分類され、そのサブタイプにより治療戦略や予後が異なる。MRIにおける拡散強調像のみかけの拡散係数(ADC値)は悪性度の指標の一つとされており、新たな拡散強調像である拡散尖度画像は、より微細な生体構造を反映している可能性がある。 我々の施設では、3テスラMRIを用いてサブタイプを予測するモデルを確立するため、まずは3テスラMRIによる高精細な画像を用いた腫瘍の形態、および従来の拡散強調像におけるADC値について、乳癌のサブタイプ間で比較・検討を行った。その結果、比較的予後がよいとされているルミナルA乳癌や、悪性度が高く予後不良なトリプルネガティブ乳癌に形態的特徴を認めた。さらにER陽性乳癌におけるルミナルA乳癌と予後がより不良なルミナルB乳癌の間、トリプルネガティブ乳癌における浸潤性乳管癌と予後良好な群を含む特殊型乳癌の間で、最小ADC値に差異を認めた。 拡散尖度画像を用いた初期症例を対象とした検討においては、腋窩リンパ節転移陽性腫瘍の病変部の拡散尖度は、リンパ節転移陰性腫瘍よりも有意に高いという結果が得られ、第74回日本医学放射線学会総会で報告した。 さらに症例を増やし、バイオマーカーやADC値を含めて検討したところ、ER陽性腫瘍ではER陰性腫瘍と比し有意に拡散尖度が高く、腋窩リンパ節陽性腫瘍では腋窩リンパ節転移陰性腫瘍と比し拡散尖度が有意に高く、ADCは有意に低いという結果が得られた。この結果は、平成28年6月に開催される第24回日本乳癌学会学術総会において厳選口演として発表予定である。 また、造影ダイナミックMRIを解析するソフトウェアを開発し、サブタイプ間での差異につき検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3テスラMRIを用い、乳癌のサブタイプ間で形態および従来の拡散強調像による解析を行った。 造影ダイナミックMRIの解析用ソフトウェアを開発し、それを応用して各サブタイプにおける血流について検討中である。 拡散尖度画像を解析するソフトウェアを作成し、それを用いた検討について症例を追加して解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在は、造影ダイナミックMRIを用いた血流評価を行っている段階であり、拡散尖度画像を用いた病変部の解析については症例を追加し解析中である。今後はさらに症例を蓄積しながら、より詳細な解析を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内学会で発表を行っており、当初国際学会への参加費として計上していた額よりも低い額の支出で済んだことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は繰り越し金を国際学会での発表で使用する予定である。
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