研究課題/領域番号 |
26860963
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
真鍋 治 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40443957)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 2型糖尿病 / PET / セロトニントランスポータ |
研究実績の概要 |
セロトニントランスポータは神経伝達物質であるセロトニンの再取り込みを行うため、セロトニンの機能と関連している。セロトニンは脳内モノアミン神経系では生理機能などに深く関係している。セロトニントランスポータ遺伝子はSS型、SL型、LL型に分けられ、遺伝子型を有する割合は国や民族によって異なる。セロトニントランスポータの発現が少ないSS型の割合は欧米人に比し日本人で著しく高く、不安傾向との相関関係が認められ、さらにSS型と2型糖尿病発症リスクに有意な相関関係が認められると報告されている。脳内セロトニントランスポータ機能に関してはC-11 DASB (Dimethyl-2-(2-amino-4-cyaophenylthio) benzylamino) PET/CTを行うことで定量評価することが可能である。 我々は、脳内セロトニントランスポータ機能、交換神経機能の評価を行うため、C-11 DASB PET/CT及び心拍変動モニターでの解析を始めた。まず2型糖尿病患者と比較を行うため健常者を募り、検査を開始し始めた。事前にSDSや精神状態短縮検査などを行い精神疾患がないことを確認、脳に基質的疾患がないかをMRIにて確認した後、PET検査を施行。PET画像に関してはダイナミックデータをList modeで取得し、同時に心拍変動モニターでのデータ収集を行っている。C-11 DASB PET/CTによる解析結果(Binding Potential)に加えて、年齢、BMI、採血データ(HbA1c、T-Cho、HDL、LDL、TG、血中カテコラミン等)、及び臨床情報等との相関を見ることで、病態と交感神経機能障害、脳内セロトニントランスポータ分布の関係を検討する予定である。 現在までに3人が検査を完遂しており、4人の健常者が待機している。糖尿病患者に関して検査を行うべく倫理委員会の書類を作成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
倫理委員会から放射性薬剤の安全性について、変異原性を評価するためAmes試験を行うように指示があり、試験を行ったため、許可が下りるのに時間がかかった。 心臓交感神経分布を行うためにC-11 HED(hydroxyephedrine) PETを行う予定であったが、患者及び健常者に負担が大きいということで、簡易的に心拍変動モニターにて検討することになった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、11C-DASBを用いたPET/CT検査及び心拍変動モニターでの検査を施行し、脳内セロトニントランスポータ機能及び心臓交感神経機能の評価を行っていく予定である。脳内のセロトニントランスポータ機能評価に関しては、11C-DASBを用いたPET/CTを施行し、ダイナミック画像データを数学的に解析しセロトニントランスポータの脳内の主要箇所(脳幹部)におけるBinding Potentialを算出する。 脳内セロトニントランスポータ機能と心臓の交感神経機能との関連性について評価するため、11C-DASB PET/CTや心拍変動モニターによる解析結果(Binding Potentioal)に加えて、年齢、罹患年数、BMI、採血データ(HbAlc,T-Cho,HDL,LDL,TG,血中カテコラミン等)等の臨床情報・検査結果との相関を見ることで、病態と脳内セロトニントランスポータ分布と心臓交感神経機能障害の関係を検討し、臓器連関を介した2型糖尿病発症メカニズムの解明や、糖尿病とうつ病との関連メカニズムの解明、2型糖尿病発症リスク評価に手界していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
11C-DASBのPET/CTの実施が臨床試験の審査の承認が得られた平成27年1月6日以降となったため、検査等にかかる費用において次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
採血、頭部MRIの検査費用。 研究データ解析をしてくれる方への人件費。 学会発表のための費用。
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