研究課題
陽子線治療装置ガントリーに搭載されたコーンビームCT(CBCT)撮影システムを用いた線量誘導放射線治療技術の実現に向け、通常の画像情報を用いた位置合わせ時の位置決め精度評価を行った。人体ファントム(腰部ファントム)を用い、診療放射線技師と医学物理士による治療計画用CT画像とCBCT画像の三次元マッチング、また規格化相互情報量を用いた自動マッチングによる位置決め精度をそれぞれ評価した。加えて、正側X線画像を用いた二次元画像マッチングによる位置決め精度との比較を実施した。三次元位置合わせは二次元位置合わせと比較して、特に回転ずれの存在下で位置決め精度が向上すること、また位置決めの所要時間のばらつきが操作者の経験に依らず小さいことが明らかとなった。この理由として、三次元位置合わせでは体軸回りの情報が加わるため、他の軸方向の並進・回転ずれの把握および補正が容易になることが考えられる。また、線量誘導放射線治療技術の完成のため、CBCT画像を用いた線量評価および位置ずれの影響評価を実施した。CT値定量性に劣るCBCT画像を線量計算に用いる際の計算精度の低下が結果に与える影響を考慮し、位置ずれが存在しない場合との相対値で標的の線量を評価した。三次元画像を用いた位置決め時の精度を想定した場合、標的の線量が臨床的に許容であることを確認した。また、CBCT画像を用いて現実的な精度での陽子線線量評価が可能であること、位置ずれが線量分布に与える影響の評価が可能であることが示された。
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Int J Radiat Oncol Biol Phys
巻: 94 ページ: 172-180
10.1016/j.ijrobp.2015.09.024