研究実績の概要 |
昨年度行った動物実験から候補となった高分子ゼラチン(RM-100HS)の中濃度溶液(1gの高分子ゼラチンを4ccの生理食塩水で溶解したもの)を使用して、この吸収性スペーサーを背部皮下へ0.3ml挿入後の7週齢のICRマウスを、挿入後Day 1, 3, 7, 21 にそれぞれ2匹ずつ安楽死して組織採取し、背部皮下挿入部の反応を病理学的に観察を病理専門医と放射線治療医で行った。ヘマトキシリン・エオジン染色とマッソン・トリクローム染色にて観察した。その結果、すべての標本にて挿入スペーサーの表面には軽度の炎症性細胞浸潤を認めた。Day 1には少数の炎症細胞浸潤が出現。Day3で炎症細胞が軽度増加。Day7で膠原線維や多核巨細胞が出現、Day21に膠原線維の増加を認めたが、正常の異物反応の範囲内であった。肉眼的に炎症所見がなかった昨年度の結果と矛盾しない結果であり、病理学的にも本物質が安全なスペーサーとなりえることが証明された。スペーサー自体もDay21まで形状を維持していることが今回も確認でき、スペーサーとしての機能を十分持ち合わせていることも再度証明できた。また昨年度ゼラチンスペーサーの安定性を見るために同様に背部皮下にゲルを挿入したマウスのDay60を確認したところスペーサーはほぼ吸収されており、マウスに目立った異常反応は認めなかった。このことからも従来目指した経皮的に挿入可能な体内吸収型のスペーサーとして十分に活用が可能であることが証明された。 この結果は第29回放射線腫瘍学会学術大会にて口頭発表を行い、国内外の専門家とディスカッションを行った。専門家達からは高い評価が得られた。
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