頭頸部への放射線療法を適用し現れる記憶障害は放射線の脳神経細胞への影響が表れているものと考えられるが、従来の研究報告では細胞死に着目したものが多かった。そこで本研究では記憶・学習のような高次脳機能において重要な役割を果たしている樹状突起スパインに着目した解析を中心に行った。その結果、X線・重粒子線照射によりスパイン形態のダイナミクスに影響を及ぼすアクチン線維結合タンパク質・ドレブリンの集積変化が一過性に引き起こされることを明らかにした。加えて同じ時間系列で行動実験による記憶障害も見出し、放射線照射による急性記憶障害の神経基盤にはシナプスタンパク質のダイナミクスが関与していることが示唆された。
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