研究課題/領域番号 |
26860981
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
山口 藍子 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (80609032)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | PET / 褐色細胞腫 |
研究実績の概要 |
本研究では、3-ヨードベンジルグアニジン(MIBG)の4位にポジトロン放出核種である18Fを導入した18F-FIBGおよびそのアナログを簡便な標識操作で高収率に得られる標識合成方法を確立し、その褐色細胞腫PET診断薬剤としての有用性評価を行うことを目的とする。 本年度は、まず18F-FIBG の標識合成方法の確立を目指した。18F標識MIBG類似化合物において、ニトロベンゼン誘導体を前駆体とし、短時間で均一な加熱が可能なマイクロウェーブ合成装置を用いた18F標識方法の有用性が報告されていることから、この標識合成方法の18F-FIBG合成への応用可能性を検討した。MIBGの4位にニトロ体導入した18F-FIBG前駆体および類似体の合成方法を確立し、また、18F標識に先立ち、18Fの非放射性同位体である19Fを用いて目的物の標品を作製した。次いで、反応時間や温度、溶媒など種々の条件下で18F標識体の作製を試みたが、目的とする化合物を合成可能な条件の確立には至らなかった。この結果より前駆体としてニトロベンゼン誘導体を用いる方法では目的とする短時間かつ高収率での標識合成は困難であると判断し、新たな合成経路として、より適用範囲の広い18F標識前駆体として注目されているヨードニウム塩を用いる方法を考案した。ヨードニウム塩は構成する二種類の芳香族化合物のうち、一方により電子豊富な化合物を組み合わせることで、他方の化合物の標識比率を向上できることが知られている。そこで、高収率で18F-FIBGが得られる前駆体を選定するため種々のヘテロジアリルヨードニウム塩の合成を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初考えていたニトロベンゼン誘導体を用いた18F標識法では、目的物を得ることは困難であり、合成経路を変更し引き続き前駆体の合成を行う必要性が生じた。このため18F-FIBGを評価する段階まで到達できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続きヨードニウム塩の設計と合成を行い、種々の標識前駆体を得る予定である。その後、18F標識条件の最適化を行い、より簡便な操作で高収率に18F-FIBGおよび18F-FIBGアナログが得られる標識合成法を確立する。続いて、得られた18F標識体を用いてインビトロおよびインビボにおける評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
マイクロウェーブ合成装置を購入予定であったが、他の研究者が別のプロジェクト用に購入したため、本研究費による購入が不要となったため。また当初よりも前駆体の合成に時間を要しており、化合物の評価に使用する予定の消耗品を購入しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画よりも前駆体の合成に時間を要しており、実験計画の変更に伴い新たに購入の必要性が生じた実験機器および試薬の費用として使用する予定である。また、化合物の評価を行うための消耗品は今年度まとめて購入する必要があるため、評価を行うための消耗品の経費としても当初の計画よりも多く使用する予定である。
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