研究課題
本研究は磁気共鳴画像法(MRI)を用いて骨格筋線維のタイプを選別する手法を確立することである.骨格筋線維タイプの選別にはq-space imaging法を用い手法確立を目指す.この手法は水分子の変位量解析を行うことで組織の微細構造を計測することが可能となる.この目的を達成するために本年度は,生体組織のマイクロ構造情報を取得することが可能はq-space imaging法の設計を行った.動物実験用7テスラMRI装置に設計開発したパルスシーケンスシステムプログラムの実装を行い,各種条件設定や調整を行った.また,q-space解析を行うためには独自の画像解析用プログラムの開発が必要不可欠である.このため,実装したパルスシーケンスのテストデータを用い,解析プログラムの開発も同時に行った.本研究では動物を対象とし手法の確立を目的としている.このため,前年度マウス下腿部に対しMRI計測が可能となるような実験系,システムの構築をはかった.またMRI計測の後に,切片画像等を用いて比較を行うため,それにともなう手技の確立も行った.本年度は健常マウスを用い,テストスキャン,データの取得を行い,画像データを取得できることを確認した.(JSMRM 2014, 2015)今後は対象数を増やし,健常マウスを対象とした本手法の妥当性を確立していく.
2: おおむね順調に進展している
本年度の研究計画として,大きく分けると①前年度作成したパルスシーケンスプログラミングによるq-space imagingの評価,②マウス下腿を対象としたMRI実験データの取得,これらの2項目が主となる.前者に関しては,前年度開発を行ったプログラムが正常に動作していることを確認でき,順調に進み,終了した.このため,当初の計画通り達成している.また後者に関しては,実際にマウス下腿に対しMRI計測を行い,データを取得した.こちらも予定通り進んでいる.このため,現在までの達成度としてはおおむな順調に進展しているといえる.
現状では計画通り順調に進んでいる.このため,今後は当初の計画通りデータ数の追加,得られたデータを解析し妥当性の評価,発表・公表を行う.また,健常マウスの進展度に応じモデルマウスへの展開を進めていく.本研究ではQSI技術を用いた筋線維タイプ識別法の確立,骨格筋評価の前臨床展開である.上記の様,データ取得のための礎は確立した.今後は,QSIは水分子の微細構造における変位量を解析する手法であり,生体組織のマイクロサイズの構造情報を取得することが可能となる.よって,筋細胞直径を評価できる可能性を秘めている.マウスを対象としたQSIによる解析に加え,筋生検やATPase染色法後,顕微鏡にて観察し,比較することで確立を図っていく.特にこの点に焦点を充て今後の研究を進めていく.
本年度において投稿予定であった論文執筆作業が長引いており,その際にかかる費用が次年度使用額として生じた.また,実験に必要であった物品を既存のもので代用できたため次年度使用額として生じた.
論文執筆作業にかかる費用として用いる.また,個体数を増やし実験データを追加していく際の物品費,消耗品費にあて使用することを計画している.
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件)
Journal of Neuroscience
巻: 36(9) ページ: 2796-2808
10.1523/JNEUROSCI.1770-15.2016
Open Journal of Radiology
巻: 5 ページ: 189-198
10.4236/ojrad.2015.54026