研究課題
本研究は磁気共鳴画像法(MRI)を用いて骨格筋線維のタイプを選別する手法を確立することである。骨格筋線維タイプの選別にはq-space imaging(QSI)法を用い手法確立を目指す。この手法は水分子の変位量解析を行うことで組織の微細構造を計測することが可能となる。この目的を達成するために本年度は、昨年度までに確立したMRI技術を用いて、データ数の追加、得られたデータを解析し妥当性の評価、発表・公表を行った。結果として、QSIを用いることで水分子の微細構造における変位量を解析することが可能となり,生体組織のマイクロサイズの構造情報を取得することができた。また、マウス下腿部骨格筋の染色像(速筋染色:SC-71と遅筋染色:BA-D5)と比較し、マウス下腿部骨格筋のAxial断面像内の筋タイプ分布との比較、その筋細胞径との比較を行い有意な相関が得られた。このように本研究で開発を行った手法の妥当性を評価することで、筋線維タイプの識別法として新規性に富んだ手法として確認された。主に新規性がある点としては、 (1)組織切片を必要としないため非侵襲的,(2)MRI装置内にて安静にしているのみのため簡便,(3)断面のみでなく3次元的に評価可能といった点が挙げられる。本法が今後臨床にて確立されることにより、骨格筋疾患の画像診断や機序解明において新しい基準をもたらす可能性が考えられる。また,アスリートのスポーツ選手の場合、スプリンターは速筋線維が多く、マラソン選手は遅筋線維が多い。さらに、これらの割合は練習によりある程度変化するが、筋線維タイプ構成比が非侵襲かつ筋全体にて計測可能となるとスポーツ医学の発展も大いに期待できる。
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J Neurol Sci
巻: 15 ページ: 352-357
10.1016/j.jns.2017.01.009