癌の悪性度、治療抵抗性を決定づける因子としての上皮間葉移行(EMT)と癌幹細胞の特性や制御法を知ることは今後の癌治療に大きな福音をもたらす可能性がある。本研究では食道癌に対する放射線治療により誘導されるEMTと癌幹細胞形質獲得に焦点を置き、糖尿病治療薬であるメトホルミンがその抑制を介して食道癌治療に相乗効果をもたらす可能性について検討した。食道癌細胞株ならびに食道癌細胞株直腸移植モデルマウスを用いた研究において、メトホルミンの腫瘍増殖抑制効果や放射線誘導性EMT抑制効果が確認されたことで、癌治療における有用な治療補助薬として位置づけられる可能性が示唆された。
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