研究課題
外科的切除された肝細胞癌140結節を集積した。免疫染色でβ-cateninとglutamine synthetase (GS) の発現を半定量的に評価し、次のような3群に分類した。β-catenin (+) GS (+) 群をβ-catenin変異型肝細胞癌、β-catenin (-) GS (+) 群を中間型肝細胞癌、そしてβ-catenin (-) GS (-) 群をβ-catenin非変異型肝細胞癌と定義した。これらの3群の間で臨床所見、画像所見(ダイナミックCT、MRI T1強調像、T2強調像、拡散強調像、Gd-EOB-DTPA造影MRI肝細胞相)、病理所見(分化度、増殖様式、胆汁産生)について比較検討した。また免疫染色におけるβ-catenin、GS、OATP1B3 (Gd-EOB-DTPAの取り込みトランスポーター)の発現の相関を検討した。その結果、β-catenin変異型肝癌は、拡散強調像での信号contrast noise ratio (CNR) が低く、apparent diffusion coefficient (ADC) は高値を示した。またGd-EOB-DTPA造影MRI肝細胞相でも高いCNRおよび高い増強率を示した。β-catenin変異型肝細胞癌は血清AFPとL3分画が低値であった。病理学的に分化度が高く、偽腺管形成および胆汁産生の頻度が高かった。また免疫染色におけるβ-catenin、GS、OATP1B3(Gd-EOB-DTPAの取り込みトランスポーター)の発現の間には正の相関を認めた。
2: おおむね順調に進展している
予備検討である程度の結果が出ていたため、ほぼ計画書に基づいて検討を進めることができた。
β-catenin変異型肝細胞癌における他の分子マーカー(幹細胞、肝細胞、胆管細胞など)発現の検討や、再発率・生存率などの予後評価を行う。
ほぼ予定通りの予算執行であったが、端数が生じた。
繰越金は物品費として使用する。
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Radiology
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