研究課題
間質性肺炎は慢性進行性の疾患であり呼吸器難病の一つとされている。ステロイド剤、免疫抑制剤、抗線維化薬などの薬物療法の効果は不定であり、呼吸機能の改善が得られる場合から進行する症例まで幅が広く予測が困難である。我々はこれまで2時相FDG-PET画像における肺野病変部のFDG集積の変化率が病勢を反映することを報告してきた。今回、2時相FDG-PET画像所見が間質性肺炎の長期予後や治療効果判定に応用できるか検討した。50症例の特発性肺線維症(IPF)を対象に2時相18F-FDG PET画像での肺病変部のretention index (RI-SUV)値が長期生命予後と呼吸機能の早期悪化に強く関連していることを示し、IPFの診断時における治療方針決定に寄与する可能性を示唆した。IPFは慢性進行性の疾患で、その生命予後は3年程度といわれるが、進行スピードは様々である。進行が速い事が予想される症例には、早期に進行抑制が期待できる抗線維化薬で治療介入が望まれ、さらに肺移植登録を進める必要性がある。このように、診断時に個々の症例において進行スピードを予測することが肝心であるが、予後を正確に評価するのは困難であり、診断時にその生命予後や進行スピードを予測できる2時相18F-FDG PET画像の優位性が証明された。さらに、治療適応の間質性肺炎症例に対し治療前及び治療開始1か月後に2時相18F-FDG PETを施行したところ努力性肺活量が改善した症例はRI-SUVの改善率が有意に大きいことが分かった。有効な薬剤のないIPFでは生命予後因子として、また治療前後にPETを行うことによって病勢制御を確認することができることが示唆された。
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Journal of Nuclear Medicine
巻: 56 ページ: 1869-1875
10.2967/jnumed.115.163360