研究課題/領域番号 |
26860992
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柳本 和彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70531531)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 酢酸 / 神経細胞 / グリア細胞 |
研究実績の概要 |
神経細胞又はグリア細胞を選択的に破壊する薬剤をラットの脳に微量注入し、神経細胞とグリア細胞間のグルタミン酸-グルタミンサイクルを破綻させた病態下での検討を行った。 まず、神経細胞を破壊するキノリン酸をラットの片側線条体へ微量注入し、神経細胞損傷時及び神経細胞損傷後に生じるグリア細胞の活性化時の二種類の病態下における14C標識酢酸の取り込みについてオートラジオグラフィー法にて検討した。その結果、神経細胞損傷時及びグリア細胞の活性化時の両病態下において非損傷線条体(対照側)に比べ、キノリン酸を注入した線条体における14C標識酢酸の取り込みが約30%低下していた。また、14C標識デオキシグルコースを用いて糖の取り込みを確認したところ、キノリン酸注入部位で糖の取り込み量が30~50%低下していることが分かった。 次に、グリア細胞を破壊するαアミノアジピン酸をラット片側線条体へ微量注入し、14C標識酢酸及び糖の取り込みを検討した。本検討においてもグリア細胞破壊側において14C標識酢酸及び糖の取り込み量の低下を確認した。しかし、αアミノアジピン酸の拡散範囲が注入した片側線条体全体に広がらず一部に限局していため、隣接脳切片を用いた病理染色によって拡散範囲の同定を行い、更なる検討を行う予定である。また、予定していた局所脳血流量の測定を実施することができなかったため、次年度に実施する。 今年度の検討により、グルタミン酸-グルタミンサイクルを破綻させた病態下においてエネルギー代謝機能(酢酸及び糖の取り込み)が大きく低下することが判明した。今後、グルタミン酸-グルタミンサイクルの代謝・輸送過程の一部を阻害又は調節した場合における14C標識酢酸の取り込みの変化について検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、神経細胞又はグリア細胞を破壊する薬剤を脳内注入することによりモデル動物の作製を検討した。また、本モデル動物を用いて神経細胞とグリア細胞間のグルタミン酸-グルタミンサイクルの機能を破綻させた状態下における14C標識酢酸及び糖の取り込みについて検討した。 予定していた局所脳血流量についての検討ができなかったため、次年度に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に引き続きモデル動物を作製し、本モデル動物における局所脳血流量を評価し、14C標識酢酸及び糖の取り込みについて考察を加える。 また、薬剤によりグルタミン酸-グルタミンサイクルの代謝・輸送過程の一部を阻害及び調節した場合における14C標識酢酸の取り込みの変化について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に予定していた実験の一部が実施できなかったため、繰越金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度に検討できなかった局所脳血流量測定に使用する試薬の購入に充てる。
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