研究課題
超高磁場11.7T磁気共鳴画像(MRI)装置を用いたマウス生体内における単球・マクロファージの細胞追跡技術の改良を行い、病態モデルを用いた細胞動態の定量的解析を行った。MRIは非侵襲的に生体内の情報を収集することができるが、個別の細胞動態を解析するには感度が不十分なため困難であった。我々は超高磁場11.7T MRI 装置の利用に加え、高感度プローブコイルの開発、撮像パラメータの最適化により、生体内における免疫細胞を1細胞レベルの空間分解能で描出するとともに、時間分解能の向上により、生体内の細胞が正常時及び病態変化に従いどのような振る舞いをするかを視覚的に捉えることを目的に研究を行った。今回の研究により、細胞追跡解析に耐え得る高い空間分解能・時間分解能による撮像を実現し、マウス生体脳内における1細胞レベルの細胞動態を3次元空間で描出し、時間軸を加えた4次元的な細胞動態解析を行うことが可能となった。また、実験的脳虚血モデル動物を用いた評価に本法を適応することで、虚血障害部位における単球・マクロファージの分布が正常部または正常動物とは異なることを視覚的に描出し、細胞動態(移動・停滞時間、移動速度、直進性、移動の方向性など)について定量的に評価することに成功した。生体脳内の免疫細胞動態を、非侵襲、且つ経時的に捉えた報告はこれまでになく、本法は、新たな免疫学的in vivoイメージング評価法として、脳内恒常性における免疫細胞の役割を理解するための重要な知見をもたらす可能性がある。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
Polyhedron
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