研究実績の概要 |
今年度は、生検組織にて病理学的に子宮体癌と診断され、子宮全摘術前にT2強調像(T2WI)、高分解拡散強調像(HR-DWI)、通常拡散強調像(S-DWI)、ダイナミック造影像(DCE-MRI)を含むMRIを撮像した16名の患者を対象に評価を行った。 【MRI撮像条件】撮像機種:Acheiva 3T Philps, Voxel (mm): HR-DWI 1.00/1.02/4.00, S-DWI 1.56/1.55/4.00, b-value (s/mm2): 0, 800【評価項目】①T2WIとの組み合わせにおいて、HR-DWI、S-DWI、DCE-MRIそれぞれの視覚的評価による局所深達度診断能の比較 ②HR-DWIとS-DWIにおけるヒストグラム解析を用いた定量評価による病理学的グレード、深層筋層浸潤の有無との対比【結果】患者の内訳:病理学的グレード G1:9名、G2:3名、G3&非類内膜腺癌:4名、深層筋層浸潤陽性:5名、陰性:11名、FIGO分類 ⅠA:9名、Ⅱ:2名、ⅠB:2名、ⅢA:2名、ⅢC:1名 評価項目①においては、HR-DWI、S-DWI、DCE-MRI間に有意差は認められなかった(Accuracy: HR-DWI 80%, S-DWI 81%, DCE-MRI 82%, p>0.05)。評価項目②においては、HR-DWIを用いたヒストグラム解析によるパラメータ(10%tile ADC)が、S-DWIを用いたパラメータよりも病理学的グレード(高悪性度)に有意に相関していた。深層筋層浸潤の予測に関しては両者に有意な違いは認められなかった。【結論】HR-DWIはDCE-MRI、S-DWIと同等の局所深達度診断能をもち、定量評価ではS-DWIよりも多くの情報を提供できる可能性があると考えられた。
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