研究実績の概要 |
昨年度の報告から動物実験を2回追加し合計4回の実験結果を検証した。 目的:各コイル群の内皮形成・塞栓瘤内部の病理組織学的特徴を検証する事である。対象・方法Ⅰ 瘤作成,塞栓術動物実験に際しては可及的愛護的操作、十分な鎮静・鎮痛に配慮した。ブタ4頭を使用した。全身麻酔下に両側外頸静脈を用い両側総頸動脈に5㎜大の動脈瘤を一頭につき4個作成し、合計16個の瘤について検討した。Ⅰ- ②各動脈瘤をコイルで瘤内塞栓術を施行し、3種類のコイル群を設定した。P群:ベアコイル単独(n=4) FB群:Bioaciveコイル+fiberedコイルの混合(n=8) B群:Bioactiveコイル単独(n=4)。また、これら16個の瘤を飼育期間によって35日群、63日群に分けた。各々の飼育期間後に、Ⅱ- ①血管造影後、鎮静下でサクリファイスし動脈瘤部分をブロックで摘出した。Ⅱ- ②摘出部の血管に割をいれ、内皮面の肉眼観察したのち、瘤中央部でHE標本を作製し内膜形成、瘤内部の線維化、器質化、異物巨細胞浸潤について比較検討した。 結果:Ⅰ-①全ての瘤が確実に作成できた。Ⅰ- ②各群の瘤サイズ・VERにおいて4群に差はなかった。いずれの瘤も35日後、63日後の血管造影上はCOが得られていた。Ⅱ-③HE標本を分析。P群に比しFB群で内膜が厚い傾向が見られた(P=0.038)。線維化・器質化面積率は有意な違いはなかった。多核巨細胞浸潤面積はFB群においてP群(P=0.028)とB群(P=0.047)よりも有意に多く認められた。 結論 異なるコイル群で内膜と瘤内部の病理組織学的性状が異なることがわかった。BioactiveコイルとFiberedコイルの併用は内膜が厚く、異物巨細胞浸潤が多いことが分かった。
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