研究課題/領域番号 |
26861013
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
三浦 寛司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (20607593)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 凍結療法 / 肺 |
研究実績の概要 |
スリガラス結節を呈する肺の上皮内腺癌に対して、媒体注入下で凍結療法を行うための最適な媒体を模索するための基礎実験をおこなった。媒体の候補として、粘稠度が高く肺胞実質に拡散しにくいと思われるものが適切であり、リピオドール、ヒアルロン酸を選んだ。コントロールとしては生理食塩水を選び、それぞれ凍結したときのiceballの大きさについて検討した。方法は、ビーカー内に媒体を満たし凍結針をいれて凍結を開始。4分間凍結してiceballの大きさを10秒毎に計測した。最終的なiceballの大きさは、生理食塩水は21mm、リピオドールは13mm、ヒアルロン酸が35mmであった。生理食塩水とリピオドールは180秒後にはほぼ一定となり、ヒアルロン酸は220秒後に一定となった。この結果より、純粋な媒体凍結においては、iceballの大きさが最も大きくなる媒体はヒアルロン酸であることがわかった。この結果について、第3回洛中洛外IVR勉強会(京都)で発表した。詳細な温度分布や熱特性などの実験については、九州大学工学部熱物質移動研究所の高松教授と検討を行った。来年度に実験系を作成して実験を行う予定である。 また、臨床で施行されている小径腎癌のCTガイド下凍結療法の検討で、再発のリスクファクターとしてマージンが不足することがわかった。そこで、術前に血管造影で栄養血管からリピオドールを注入するリピオドールマーキングを併用することとした。CTで腫瘍に貯留したリピオドールを明瞭に認識することができ、またmarginの評価も容易となり、良好な治療成績が得られた。この結果について、第73回日本放射線医学会総会(横浜)と第43回日本IVR学会総会(奈良)で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書の通り、in vitroでの媒体(リピオドール、ヒアルロン酸、生理食塩水)の凍結を行い、データ解析をおこなった。詳細な基礎実験に関しては、現在実験系を検討中であり、来年度に実験を行う予定であり、概ね研究目標は達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
基礎実験での詳細なデータの検討を行うために、九州大学工学部熱物質移動研究所において実験系を作成する。実際に媒体を凍結させてリピオドールとヒアルロン酸の凍結様式を明らかにする。その結果を元にして、媒体注入下凍結療法の最適な媒体を検討する。また、豚肺を用いてin vivoでの媒体注入下凍結の実験の詳細について検討して、実験系を構築して実験を行う
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次年度使用額が生じた理由 |
実際に実験を行う施設での設備の整備に遅れを生じているため、予定していた実験の一部は行う事ができなかったため、次年度の繰越金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験施設の整備は終了したので、次年度に当該実験を行う事が可能であり、繰越金とあわせて助成金を使用する。
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