研究課題/領域番号 |
26861013
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
三浦 寛司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (20607593)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リピオドール / ヒアルロン酸 / 凝固点 / 凍結療法 |
研究実績の概要 |
昨年度までに媒体注入下で肺スリガラス結節に対して凍結療法を行うための最適な媒体を模索し、粘稠度が高く周囲に拡散しにくい物質としてリピオドール、ヒアルロン酸を選んだ。ヒアルロン酸やリピオドールの凝固点は不明であったため、福岡大学機械工学科の藤野淳市先生、九州大学工学部熱物質移動研究所の高松教授と共同で熱特性を検討した。凝固点はリピオドールが-7.8度、1%ヒアルロン酸が0.531度、潜熱はリピオドールが6.65kJ/kg、1%ヒアルロン酸が245.4kJ/kgであることが判明した。また、媒体自体の凍結様式は不明であるために、九州大学工学部熱物質移動研究所の高松教授と共同で基礎実験系を確立して検討を行った。恒温槽内に媒体を設置して、凍結針を刺入して周囲の温度(凍結針から2, 4, 6, 8, 10, 25mmの位置)を測定できる実験系を確立した。ヒアルロン酸について検討したところ、コントロールのゼラチン組織ファントムとiceballの大きさや内部の温度勾配は同等であった。ヒアルロン酸を肺胞腔に注入すれば、空気を置換して通常の実質臓器と同様に凍結できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画書の通り、媒体の凍結の基礎実験系を確立し、ゼラチン組織ファントムとヒアルロン酸の凍結をおこなった。実験系の確立に時間がかかったため、リピオドールの凍結様式に関しては来年度に行い、これらの実験結果を解析する。in vivoでの実験に関しては、実験系を構築中であり、来年度に行う予定である。やや計画は遅れているが、来年度には予定の実験は実施可能である。
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今後の研究の推進方策 |
九州大学工学部熱物質移動研究所で確立した実験系において、実際にリピオドールを凍結させて凍結様式を明らかにする。また、in vivoでの媒体注入下凍結の実験を行うために、鳥取大学農学部臨床獣医学の岡本先生と共同で、豚肺での媒体注入下凍結での詳細な凍結様式について検討できる実験系を構築する。構築できた実験系において媒体を豚肺に注入して凍結し、iceballの大きさと内部の温度勾配について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
媒体凍結の基礎実験系の確立に時間を要したため、媒体の基礎実験が途中となってしまった。また、in vivoでの実験系に関しても、温度測定の方法に問題があったため、確立に時間を要しているため。
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次年度使用額の使用計画 |
基礎実験を行うための消耗品(アルゴンガス、ヘリウムガス、凍結針、リピオドールやヒアルロン酸などの媒体、など)の購入をする。また、in vivoでの実験系の確立のために必要な測定器具の購入をする。実際に動物実験を行うにあたり、必要な物品や動物実験施設の使用費などに研究費を使用する予定である。上記結果の国内、海外学会での発表(英文校正費、出張費など)に使用する予定である。
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