研究実績の概要 |
昨年度までに媒体注入下で肺スリガラス結節に対して凍結療法を行うための最適な媒体を模索し、粘稠度が高く周囲に拡散しにくい物質としてリピオドール、ヒアルロン酸を選んだ。昨年度は組織ファントムとヒアルロン酸の凍結実験を施行し、今年度はリピオドールの凍結様式について、九州大学工学部熱物質移動研究所の高松教授と共同で検討を行った。昨年度までに確立した基礎実験系を利用し、恒温槽内にリピオドールを設置して、凍結針を刺入して周囲の温度(凍結針から2, 4, 6, 8, 10, 25mmの位置)を測定した。リピオドールを凍結した際に形成されるiceballは、コントロールのゼラチン組織ファントムよりも小さかった。また、凍結針周囲の温度はコントロールよりも低く、リピオドールの熱伝導性が低い事が示唆された。この結果、リピオドールよりもヒアルロン酸が肺胞腔への注入に適していると考えられた。また、動物実験を行う際に、iceballの大きさを測定する為に熱電対を肺内に正確な位置に固定することが必要であるが、試験実験の結果、肺内に意図した間隔で複数の熱電対を配置する為にはアダプターが必要であることが判明した。そのため、熱電対を固定するアダプター(凍結針から2, 4, 6, 8, 10, 25mmの位置)を作成した。実際にアダプターをファントムに穿刺して、CTを撮影して針の間隔を測定して、精度の試験実験を繰り返した。
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