研究課題/領域番号 |
26861015
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研究機関 | 東北薬科大学 |
研究代表者 |
山本 由美 東北薬科大学, 薬学部, 助手 (70613446)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | COX-2 / イメージング / ニメスリド / 脳 / 脂溶性 / P糖タンパク質 |
研究実績の概要 |
本研究は、脳への集積が向上する可能性が高いニメスリド誘導体に着目し、脳COX-2イメージング剤の開発を行うことを目的としている。 導入する官能基を変化させた放射性同位元素標識ニメスリド誘導体を合成・評価することによって、COX-2イメージング剤としての挙動を比較する。また、物理化学的性質、in vitro評価、in vivo評価と、様々な角度から評価を行い、COX-2イメージング剤の開発へと発展させていく。 平成26年度までにおいて、ニメスリド誘導体の新規合成経路の確立に成功し、母体化合物を含めた7化合物の合成に成功した。得られた7化合物の物理化学的性質およびCOX-2に対する選択性・親和性を評価し、7化合物中3化合物に望ましい性質を見出していた。 当該年度において、7化合物の生体内における挙動を推測するために、P糖タンパク質との相互作用をin vitroにて評価したところ、いずれもP糖タンパク質の基質ではないことが明らかとなり、脳移行において良好な挙動を示すことが期待される結果を得た。また、マウス血漿を用いたin vitro安定性評価により、いずれの化合物も良好な安定性を有することを明らかにした。これらの結果は、ニメスリドおよびその誘導体の良好な生体内分布を示唆する結果であるといえる。 現在は7化合物の放射性同位元素標識を可能とする標識前駆体の合成および、11Cあるいは125Iによる標識を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度では、2) in vitro評価 として、人工膜を用いたタンパク結合率・膜透過性試験を行うとともに、合成したニメスリド誘導体を用いて、P糖タンパク質等の膜排出タンパク質が多く発現しているとされるCaco-2細胞を用いたmonolayer efflux assayにより、P糖タンパク質に対する親和性を評価する、という計画であった。 平成27年度の研究実施状況において、前者は母体骨格であるニメスリド自身の生体内分布評価を行った文献調査により得られたため行わず、後者のみ行った。後者の研究計画に含まれる実験をすべて行うことができ、現在は平成28年度の研究計画への移行を進めていることから、(2)おおむね順調に進展している と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度において、当初の研究計画に従いおおむね順調に進展したことから、平成28年度においても当初の研究計画に基づき推進していく予定である。 具体的には、放射性同位元素標識およびin vivo評価として、放射性同位元素標識のための標識前駆体の合成を行い、非標識体によるcold実験を行ったのち、11Cあるいは125Iにて標識合成を試みる。化合物の標識に成功したのち、正常マウスを用いたin vivo評価を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた状況として、平成26年度未使用額の繰り越しによる影響が大きいと考えられる。平成26年度未使用額が817,280円であるのに対し、平成27年度未使用額は614,476円であり、平成27年度中に使用した研究費のみで考えれば、おおむね予定通りに支出している。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度以降に請求する研究費とあわせ、当初の計画通り合成用試薬や放射性同位元素など物品費を中心として使用していく予定であるが、最終年度の計画上、サイクロトロンを用いた実験や学会発表なども含まれることから、出張旅費にも使用するとともに、論文としてまとめるために必要な謝金などにも使用していくことを視野に入れている。
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