研究実績の概要 |
本研究は、脳への集積が向上する可能性の高いニメスリド誘導体に着目し、脳COX-2イメージング剤の開発を行うことを目的としている。 導入する官能基を変化させた放射性同位元素標識ニメスリド誘導体を合成・評価することによって、COX-2イメージング剤としての挙動を比較する。また、物理化学的性質、in vitro評価、in vivo評価と、様々な角度から評価を行い、COX-2イメージング剤の開発へと発展させていく。 当該年度において、7化合物中3つのメトキシ誘導体のフェノール前駆体を合成し、3化合物ともにコールドランおよび14C標識合成に成功した。 研究期間全体を通じて、ニメスリド誘導体の新規合成経路の確立に成功し、母体化合物を含めた7化合物の合成に成功した。得られた7化合物の物理化学的性質およびCOX-2に対する選択性・親和性を評価し、そのうち3化合物に望ましい性質を見出した。また、in vitro評価を行い、7化合物すべて、脳移行において良好な安定性と挙動を示すことが期待される結果を得た。化合物の14C標識合成にも成功したことで、各化合物のCOX-2イメージング剤としての開発の端緒を開いた。当該研究において得られた成果は、論文(Bioorg.Med.Chem.23,6807-6814(2015)およびBioorg.Med.Chem.24,3727-3733(2016))および、国際学会(Ninth Japan-China Joint Seminar on Radiopharmaceutical Chemistry)にて既に公表・発表している。 今後は、本研究課題で明らかとなったニメスリド誘導体のCOX-2イメージング剤としての可能性をさらに検証するために、in vivoにて評価してゆく予定である。
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