研究課題/領域番号 |
26861022
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
奥田 光一 金沢医科大学, 一般教育機構, 助教 (60639938)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 核医学 / 画像処理 / ドーパミントランスポーター / 分子イメージング |
研究実績の概要 |
本研究では放射性医薬品I-123 Ioflupaneを用いた脳内ドーパミントランスポーター(DAT)のイメージングにおいて、新規に考案した画像の高解像度化手法を開発し、レビー小体型認知症の診断精度を飛躍的に向上させることを目標としている。初年時は画像の高解像度化手法の基礎検討および線条体ファントム実験を実施した。 高解像度化手法の基礎検討に関しては,隔壁の薄いコリメータ(放射性医薬品から放出されるガンマ線の平行成分を選択する機器)の弱点であったガンマ線の隔壁通過による解像度低下を数式によってモデル化できる事を確認した。理想的な放射性医薬品の分布であるガウス分布に指数関数で示された低解像度成分が加算されていることが分かった。この低解像度成分を指数関数で既定し、画像演算することで低解像度成分を除去した高解像度の画像を得られることが示唆された。また、低解像度成分は2種の指数関数で表すことが可能であり、今後は最適な指数関数を実験値との比較を行うことで決定する予定である。 次に脳内の線条体を模したアクリル製の模型(ファントム)に放射性医薬品を満たし、擬似的に生体内の線条体の濃度分布を計測した。濃度分布の変動原因であるコリメータは低エネルギ型(LEGAP)コリメータおよびFan-beam型コリメータを選択した。脳内のバックグラウンドに対する線条体の放射性濃度分布は両コリメータ間で同等の値を示したが、画質は明らかにFan-beamコリメータで撮像した場合で良好であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標は、①画像の低解像度成分を数式化し、数値計算できることを確認し、高解像度ソフトウェアを試作することである。低解像度成分の数式化に関しては目標を達成しているが、高解像度ソフトウェアは現在試作を行っている。また、次年度のファントム実験に関する研究計画の一部を初年度に実施した。さらにデジタル3Dモデリング技術を用いたデジタルファントムに関する基礎的な検討を既に実施している
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今後の研究の推進方策 |
本年度は上半期に高解像度ソフトウェアの試作を完了させる。また、平行してデジタルファントムの試作を推進する。それによって、ソフトウェアの検証がデジタルデータを用いて行うことが可能となる。本環境のメリットとして、ファントム実験に伴う余計な被ばくをゼロにすることができる。研究計画では臨床データより線条体ファントムの試作を計画していたが、アクリル製の線条体ファントムが開発されたため、本ファントムを使用し実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の目標であった高解像度ソフトウェア作成に関する課題が未着手であったため、専用のプログラミングソフトウェアが未購入であることが原因である。
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次年度使用額の使用計画 |
高解像度ソフトウェア試作のための、専用のプログラミングソフトの購入を行う。さらに、高解像度ソフトウェアの検証を行うため、デジタルファントムおよびアクリル製ファントムの実験が必要となる。後者のアクリル製ファントム実験を行うためには放射性医薬品が必要であるため、昨年度の研究費は本実験においても使用する予定である。
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