1.本研究の目的 近年,社会問題にもなっている医療被ばくの中でもその過半数を占めるCT検査に使用する線量を低減するため,被ばく情報の把握・管理に関する研究が行われている。このような状況の中で,受診者にも被ばく情報を提供すべきだという議論があるが,実際に受診者がそのような情報を必要としているのか,知らせた場合にはどのような反応をするのかは不明である。そこで本研究では,一般成人がCT検査に対してどのような認識を持っており,被ばく情報の提供や提供の仕方などでその認識がどのように変わるのかを明らかにすることを目的とした。 2.平成28年度の研究成果 (1)新たなデータの収集:診療放射線技師養成大学の新1年生から新4年生に対してCT検査に対する態度調査を実施した。(2)データの分析:平成27年度に行った診療放射線技師養成大学の新卒業生に行ったCT検査に対する態度調査と上記(1)のデータに関して,分散分析を行い学年が上がるごとにCT検査への態度がどのように変化するのか,何をきっかけにCT検査の不安が低減されるのかを検討した。(3)データの公表:心理学系・医療系学会において5件の発表を行った。CT検査とその放射線に対する態度の年代間による比較に関して日本発達心理学会第27回大会で発表を行った。CT検査に対する一般成人の態度構造のモデルを31st International Congress of Psychology・日本心理学会第80回大会において発表をした。診療放射線技師養成大学新卒業生と一般大学大学生のCT検査に対する態度の比較を行い日本教育心理学会第58回総会にて発表した。医療被ばく管理システムに対する一般成人の態度構造のモデルを日本健康心理学会第29回大会で発表した。上部消化管造影検査に対する受診者の苦痛とその関連因子に関して第57回日本人間ドック学会学術大会で発表を行った。
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