研究課題/領域番号 |
26861024
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研究機関 | 秋田県立脳血管研究センター(研究局) |
研究代表者 |
松原 佳亮 秋田県立脳血管研究センター(研究局), その他部局等, 研究員 (40588430)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | PET / 線条体 / クラスター分析 / 自動VOI抽出 |
研究実績の概要 |
陽電子断層撮影法(PET)を用いた脳機能や疾患の研究では単一のPET薬剤を用いた単一の機能の評価が行われることが多いが,パーキンソン病などの症状が多岐に渡る疾患についてその病態を評価するためには,複数の機能について検査した結果を統合して評価する必要がある.本研究課題では脳の各器官における主な機能の寄与とその局在のマップを複数のPET画像を解析することで取得する手法を開発・確立させ,本手法により脳器官における機能局在を解明することを目的としている. 本研究ではまず脳機能局在解析において要となる関心領域(VOI)の抽出において,最も正確に線条体VOIを抽出できる自動VOI抽出法を探索した.本件については,少数例を用いた前検討から複数の方法の組み合わせにより抽出精度が向上することを予測していた.しかし,サンプル数を増やして検討したところ,方法を組み合わせた場合には逆に抽出精度が低下する事が判明した.これは方法を組み合わせたことにより,MR画像不均一性の過補正が生じたことが原因であると考えられる.一方で,各方法で抽出したVOIにおいて受容体結合能 (BP)を推定したところ,FSLによる方法を単一で用いた時にBPを過小評価する傾向がみられた.これはFSLではVOIが真のVOIより大きく抽出される傾向があったためであると考えられる.以上の結果よりFreeSurferを単一で用いる方法が他の方法より精度よくVOIを抽出できることが示唆された.今後,他の領域についても同様の検討を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の研究期間は2年であり,1年目は線条体VOIの抽出に最適な自動VOI抽出方法の探索を行い,その結果を基に複数のPET画像のクラスター解析,また先行研究のメタ解析によるクラスター解析結果のvalidationを行う予定であった.最適な自動VOI抽出方法について結果を示すことができたが,多数のサンプルの自動VOI抽出処理・解析に予想以上に時間を要したため,実際のクラスター解析及びそのvalidationを行うまでに1年目で到達することができなかった.2年目において上記の解析作業及び検討を行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
1年目において探索した最適な自動VOI抽出法により抽出した線条体VOIを用いて複数のPET画像上の線条体におけるクラスター解析を実行し,線条体における脳機能局在を明らかにする.また先行研究のメタ解析によりクラスター解析結果のvalidationを行う。加えて線条体以外の領域(大脳皮質・辺縁系等)についても同様の検討を行い,脳における各器官の機能局在を統合的に評価していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
1年目において解析作業及びその結果のディスカッションのために共同研究先(アメリカ合衆国)への渡航出張を予定していたが,解析作業の遅延により,予定していた渡航が次年度に延期されたため,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
1年目において予定していた共同研究先への渡航旅費に次年度に繰り越した研究費を使用する予定である.
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